科目名・英語名　 ：　 工業材料　 Industrial Materials

必修選択の別　　　 ：　 必修　２単位

担当教官　　　　　　　 ：　 小林　秀彦 (非常勤講師)

対象学科　　　　　　　 ：　 物質工学科

学年・学期　　　　　 ：　 ５年次　通年

授業の概要

我々の日常生活、社会生活、オフィス、工場、企業などを含む産業社会に、高度先端技術は大きな影響を与えている。この技術の進歩を支えているのが素材であり、材料である。その中から工業材料の一つである無機材料(ファインセラミックス)を取り上げて、それらのプロセシング(合成法、成形法、焼結法などの材料をつくるまでの製造工程・基礎科学)を理解させ、その知識が応用できるようにする。

授業の目的

ファインセラミックプロセシング(合成法、成形法、焼結法などの材料をつくるまでの製造工程・基礎科学)を学ぶ。特に、ファインセラミックスの合成法がセラミックプロセシングにおいて重要であることを理解し、化学がいかにファインセラミックスに係わっているかを学ぶ。

授業の達成目標

ファインセラミックスを中心に、次に示す基礎項目について理解すること。

(1) セラミックプロセシングとは何かを学び、材料の信頼性、機能性にセラミックプロセシングがいかに重要かを理解すること。

(2) セラミック粉末の合成法、セラミック粉末のキャラクタリゼーションについて学ぶ。また、これらに共通する考え方を理解すること。

(3) セラミック粉末の成形法と焼結法について理解すること。特に、粒、気孔、粒界の動きを中心に理解を深めること。

教科書　：　 水谷、尾崎、木村、山口「セラミックプロセシング」（技報堂、1985）

参考書　：　 水田、河本共著「セラミックス材料科学」(東京大学出版会)

柳田 博明著「セラミックスの化学」(丸善)

柳田、永井共著「セラミックスの科学」(技報堂)

安田、高萩、奥山、峠、安保、岡本共著「機能性材料科学」(朝倉)

学習方法

予 習： 特に準備はいらない。

授 業： 授業時間内に講義内容が理解できるように授業を進めるので、より多くの活きた知識を身につけること。授業中に多く質問するように努力すること。

復 習： 毎回の講義内容の理解度を各自が確認できるように、理解度確認シートを宿題にする。

キーワード

　　セラミックプロセシング、セラミック粉体、気相法、液相法、固相法、キャラクタリゼーション、成形法、充填構造、焼成、焼結体、物質移動、気孔、緻密化、微細構造

授業内容

授業展開#1：序　論　－　 無機材料とは。

授業展開#2：セラミックプロセシングとは。

　　　　　 　　　　 セラミックプロセシングとセラミックスの性質、セラミックスの純度、そして材料の信頼性とは。

授業展開#3：セラミック粉末��－　セラミック粉体の特徴と粉体粒子の構造

授業展開#4：セラミック粉末��－　粉体の特徴、微粒子の性質、セラミック粉体の物理的・化学的性質

授業展開#5：セラミック粉末の合成��－　　液相からの粉末合成法�氈@分類と特徴、沈殿生成

授業展開#6：セラミック粉末の合成��－　　液相からの粉末合成法��　コロイド法、アルコキシド法

授業展開#7：セラミック粉末の合成�｡－　　気相からの粉末合成�氈@分類と特徴、平衡定数、過飽和度、核生成

授業展開#8：セラミック粉末の合成�｢－　　気相からの粉末合成��　気相反応法、ガス蒸発法

授業展開#9：セラミックス粉末の合成�｣－　固相からの粉末合成法�氈@分類と特徴、熱分解法

授業展開#10：セラミックス粉末の合成�､－ 固相からの粉末合成法��　固相反応法

授業展開#11：セラミック粉末のキャラクタリゼーション��－　必要性と評価、評価法の原理および特徴

授業展開#12：セラミック粉末のキャラクタリゼーション��－　粒子の充填、粉体の密度、凝集粒子の性質

授業展開#13：セラミック粉末のキャラクタリゼーション�｡－　粉体の焼結特性、成形体の性質

授業展開#14：中間試験

授業展開#15：セラミック粉末の成形I－　　成形とは、成形操作の必要性と特徴、成形法と結合剤。

授業展開#16：セラミック粉末の成形II－　加圧成形法、粉体の高密度化、粉体の流動と圧力分布。

授業展開#17：セラミック粉末の成形�｡

　　　　　　　　　　　 泥しょう鋳込み成形法、粒子の帯電と電気二重層、泥しょう中の粒子の凝集、泥しょうの着肉速度。授業展開#18：セラミック粉末の成形�｢

電気泳動鋳込み成形法、ドクターブレイドプロセス、静水圧成形法、射出成形法

授業展開#19：焼　結��－　焼結とは、焼結の原理、焼成中に起こる物質移動

授業展開#20：焼　結��－　焼成中に起こる変化－緻密化と粒成長

授業展開#21：焼　結�｡－　焼成中に起こる変化－気孔と粒界の相互作用

授業展開#22：焼　結�｢－　微細構造に与える工程パラメーターの影響－粉体の性質

授業展開#23：焼　結�｣－　微細構造に与える工程パラメーターの影響－成形体の性質、添加物

授業展開#24：焼　結�､－　焼成法－昇温速度、焼成温度と時間、焼成雰囲気、圧力の効果

授業展開#25：焼　結�･－　焼結体の構造とその測定

授業展開#26：期末試験

授業方法

　授業時間内に講義内容が理解できるように授業を進め、より多くの活きた知識を身につけさせる。授業中に多く質問するように努力させ、自らが積極的に専門知識を習得できるようにする。毎回の講義内容の理解度を各自が確認できるように、理解度確認シートを宿題にする。

カリキュラム中の位置づけ

　　　物質工学科の専門科目の中で、材料化学コースの必修科目であり、化学的観点から、無機材料の合成法、成形法、焼結法などの製造工程・基礎科学を学び、無機材料プロセシングを理解する科目である。

この科目を学ぶために先行して理解する必要のある科目

　　　物質工学入門、材料工学

この科目と同時に学ぶ関連科目

　　　焼結工学、高分子材料

この科目の後に学ぶ関連科目

　　　なし

評価基準

(1) 最低水準：評価(C)

材料の信頼性、機能性にセラミックプロセシングがいかに重要かを理解していること。セラミック粉末の合成法、キャラクタリゼーション、成形法、焼結法について理解していること。

(2) 優良水準：評価(B)

セラミックプロセシングと材料の信頼性および機能性との関連性を理解していること。また、セラミック粉末の合成法、キャラクタリゼーション、成形法、焼結法について、共通する考え方を理解していること。

(3) 優秀水準：評価(A)

セラミックプロセシングと材料の信頼性および機能性との関連性を説明できること。また、セラミック粉末の合成法、キャラクタリゼーション、成形法、焼結法についての知識が応用できること。

評価方法

中間試験(35 ％)、期末試験(35 ％)、宿題の理解度確認シート(30 ％)

連絡事項

　　　質問がある場合には、電子メールでコンタクトを取ること。　e-mail ： hikoba@apc.saitama-u.ac.jp

学生へのメッセージ

セラミックスの高機能材料化の困難さを克服した科学と技術がセラミックプロセシングです。このセラミックプロセシングについて基礎から学ぶことができます。講義で理解した内容を素材(材料)開発に応用できるように、しっかりと勉強して下さい。