科目名 ： 化 学 熱 力 学
英文科目名 ： Chemical Thermodynamics
必修選択の別 ： 必修
単位数 ： 2 単位
対象学科 ： 物質工学科、コース共通
学年・学期 ： 3年・通年 (前期：週1時限、後期：週3時限)
授業形態 ： 1回50分の講義×60回
担当教官 ： 岸 浩 (居室 ： 物質･電気工学科棟 3階)
Tel ： 0285-20-2805 (dial in)
FAX ： 0285-20-2887(物質工学科事務室)、 0285-20-2880(庶務課)
E-Mail ： kishi@oyama-ct.ac.jp
授業の概要
物理化学は、化学熱力学、反応速度論のように古くからの主要な部分と、量子力学、分光学、統計力学、表面科学等の比較的最近になって取り入れられたものなどを含みます。化学の殆ど全ての領域に関係する理論的基礎を与え、化学系学科･生物系学科で必須の科目です。多岐にわたる領域に対し、3年では導入的「物理化学」(1単位)と、「化学熱力学」(2単位)が設けてあり、4年の「量子化学」、5年の「表面工学」に接続します。化学熱力学は、温度、熱、エネルギー、平衡等の重要な概念を定義し、実際応用に便な使い易い形で式を表現してくれます。
授業目的
化学熱力学の基礎となる熱力学の三つの法則(第一法則･第二法則･第三法則)について学び、内部エネルギー・エンタルピー・エントロピー・自由エネルギー等の熱力学関数の概念を理解する。また、実際の物理化学的な系や化学平衡･相平衡にこれらの諸法則や関数を如何に応用するかを学習する。
達成目標
(1) 熱力学の第一法則、内部エネルギー、エンタルピーについて理解し、これらを用いて化学反応のエネルギー計算が出来るようになること。
(2) 熱力学の第二法則、エントロピー、自由エネルギーについて理解し、これらを用いて化学平衡の計算が出来るようになること。
(3) 熱力学の第三法則、絶対エントロピーの概念を理解すること。
(4) 溶液の熱力学について理解し、これに関する計算が出来ること。
(5) 相平衡･相律について理解し、これに関する計算が出来、状態図の理解が出来ること。
学習保証時間
50（分／週）×15（週／前期）＋150（分／週）×15（週／後期）＝3000（分／年）＝50（時間／年）
教科書
Gordon M. Barrow著 「物理化学」(上)、 大門寛･堂免一成訳 (東京化学同人、1996)
参考書
右脳式、演習で学ぶ「物理化学」－熱力学と反応速度－： 上松敬禧･他著 (三共出版)
大学演習「物理化学」： 吉岡甲子郎･荻野一善著、 (裳華房)
学習方法
予 習： 特に準備はいらない。
授 業： 授業時間内に講義内容が理解できるように授業を進める。
授業中に多く質問するように努力すること。
復 習： 毎回の講義内容に例題を含める。関連した演習問題を2週に1回程度のペースで、各回3～4題、課題として課す。提出物を検討して理解度の確認とする。
キーワード
熱力学の第一法則、内部エネルギー、エンタルピー、熱力学の第二法則、エントロピー、自由エネルギー、化学平衡、熱力学の第三法則、絶対エントロピー、溶液の熱力学、相平衡、相律、状態図、束一的性質、
授業内容
第1章 化学系のエネルギー：熱力学第一法則
§1-1. 熱力学第一法則
§1-2. エンタルピー
§1-3. 熱容量
§1-4. エンタルピー変化の温度依存性
第2章 エントロピーと熱力学第二、第三法則
§2-1. 熱力学第二法則
§2-2. エントロピーと自発性
§2-3. 化学への応用と熱力学第三法則
第3章 自由エネルギーと化学平衡
§3-1. 自由エネルギー及び標準生成自由エネルギー
§3-2. 自由エネルギーの圧力変化と平衡定数
§3-3. 非理想気体の平衡
第4章 溶液の熱力学的取り扱い
§4-1. 溶液の熱力学
§4-2. 溶液の束一的性質
§4-3. 溶液中の平衡
第5章 相平衡
§5-1. Clausius-Clapeyronの式
§5-2. 相 律
§5-3. 相 図
授業方法
授業時間内に内容を整理して理解させるように授業を進める。授業中に多く質問するように努力させる。授業内容に関して例題を用いて解説し、演習問題を課して理解度の確認とする。
カリキュラムの中の位置付け
3年で学ぶ物理化学を導入とし、4年の量子化学、5年の表面工学へと接続する物理化学系科目の中の1つで、コース共通必修となっています。
この科目を学ぶために先行して理解する必要のある科目
本科3年 ： 物理化学
この科目と同時に学ぶ関連科目
なし
この科目の前に学ぶ関連科目
微分、偏微分、積分
評価方法
中間試験(35%)、期末試験(35%)、演習課題(30%)。
連絡事項
質問がある場合は、いつでも教官室または実験室を訪ねてください。
E-Mailでの質問も可です。
学生へのメッセージ
化学熱力学は”楽しい”という言葉とあまり縁が無い科目かもしれません。むしろ、化学熱力学の学習には、”つらい”、”分からない”、”難しい”という言葉に”面白くない”が付くかもしれません。しかし、今後ますます理論的考察能力を備えた技術者が要求される時代になると考えられます。辛抱強く化学熱力学を勉強していくと理解出来るようになり、楽しい科目となります。我々も学生の時に学び、訳が分からないまま式の適用をして計算し、慣れてきているに過ぎないと考えています。また、化学熱力学は理解しただけでは不十分で、式を用いた計算が出来ないと役に立たない。これも大変な所でしょうか。