風洞装置の温度制御


星野 剛史
渡辺 誠
(指導教官 笠原 雅人)



1 研究の目的
現在の空調システムでの部屋の温度制御はヒーターとファンの調整により行っている。本研究の温度・風速・風洞実験装置は、部屋のモデルの簡単な例である。本研究では、ヒーターとファンの調整を制御することは困難なので、ファンの速度は変化させず、ヒーターのみによる温度制御を行う。この実験装置の風洞部分は断熱材で覆われているが、外気による外乱の影響は大きくなっている。また、流れ込む温風の熱分布が一定ではないので温度のむらができていることから目標温度を保つのは難しい。このように外乱の影響を受けている実験装置に外乱の抑制と目標温度への追従を行わせる制御系の設計が研究の目的である。

2 研究の内容
本研究の温度・風速・風洞実験装置のシステムを図1に示す。

温度・風速・風洞実験装置

図1 温度・風速・風洞実験装置のシステム

この実験装置は、まず空気を取り込み、ヒーターでその空気を熱し、ファンによってパイプに流入させる。そしてその温度変化を熱電対によって測定し信号を得て、A/D変換器により変換し、電算機に取り込ませ、制御量を算出させる。制御量を、D/A変換器によって変換し、実験装置の温度が目標温度に近づくよう制御する。また、A/D変換器の前にあるローパスフィルターは、サンプリングにより高周波ノイズが混入すると、もとの連続時間信号を再生することが難しくなるだけでなく、閉ループ系の安定性にも悪影響を与えるアリアス効果が生じるので設置している。制御方法は状態方程式による制御やPID補償などがあるが、状態方程式は状態変数が多く、最少個数の状態変数を使わないと効率が悪く、伝達関数を求めなくてはならないため困難である。このため、変数が少ないPID補償を本研究では使用する。現在は1自由度系であるが、目標値応答と外乱応答の2つの性能を同時によくするため、昨年の研究成果である2自由度系で制御を行いたい。

3 今までの成果
実験装置の動作確認を行った。つぎに、A/D,D/A変換ボードの仕様と操作方法を修得し、それに沿ったプログラムの作成を行った。そのプログラムにより、実験装置のステップ応答を得た。また、アリアス効果を除去するためにローパスフィルターを作成している。

4 今後の課題
ローパスフィルターを完成させる。プログラムに修正を加え、最適なPID補償を行い応答特性を改善することが今後の課題である。

今年の卒研内容




1996 BY 笠原研