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科目名: 電子回路V (英文科目名:Electronic Circuits III) 1単位 必修 電子制御工学科 4年 前期

担当教官:久保和良(居室:電子制御工学科棟4階)Tel: 0285-20-2261 E-mail: kubo@oyama-ct.ac.jp

授業目的:

1.これまで学んだ電子回路の基礎修得事項を踏まえて、回路解析や回路設計を行うための基本項目を網羅的に学ぶ。

この授業では電子回路の専門研究者を育成する事よりも、卒業研究や社会で出会うさまざまな応用分野を踏まえて、

むしろ電子回路を使う立場から電子回路を学ぶ意図がある。従って、特定回路に限って深く理論や数式を研究する

というよりも、各種電子回路の種類やそれらの定性的理解を進める事に主眼をおく。

達成目標:

1.代表的な電子回路の名前を言うことができ、かつ類似回路との動作の違いを十分に説明できる。

2.代表的な電子回路の動作を原理原則に立ち返って十分に説明することができる。

3.卒業研究で必要となるOPアンプの回路を分析することができ、適切な参考書が与えられれば自力で回路設計も

行える。

4.卒業研究で必要となるTTLの回路を分析することができ、適切な参考書が与えられれば自力で回路設計も行える。

5.適切な指導者につけば、自力で文献を読みながらさらに高度な試作回路を設計し評価できる。

総合工学系プログラムの学習・教育目標: (A), (C) JABEE基準1の(1)との関係: (d), (g)

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教科書: 安藤繁:電子回路−基礎からシステムまで、培風館(1995)【指定教科書】

参考書:

1)青島伸治:電子回路、近代科学社(1992)

2)宮田武雄:速解論理回路、コロナ社(1987)

3)青島伸治:計測工学入門、培風館(1995)【後期指定教科書】

4)J.J.Brophy:Basic Electronics for Scientists, McGraw-Hill(1977)

) R.J.Smith, R.C.Dorf:Circuits Devices and Systems, Wiley(1992)

6)シリング、ビラブ:トランジスタとICのための電子回路、マグロウヒル(1982)

7)トランジスタ技術編集部:わかる電子回路部品完全理解、CQ出版社(1998)【1年次教科書】

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授業内容:

A.半導体回路の基礎(既習の項目を除き、概ね4週で実施する)

ダイオード(理論モデルと理想モデル、クリップ、最大値検出、整流、N倍圧、クランプ、オートリセット、ツェナーダイオード)、トランジスタ(小信号特性、等価回路、接地方式、大信号特性、NOT回路、CR結合増幅回路、自己バイアス方式、定電圧源、レベルシフト、ミラー、差動増幅、ダーリントン、カスコード)、FETJFETMOSFET NOT回路、D-RAM回路)

B.ディジタル回路(既習の項目を除き、概ね4週で実施する)

論理回路(ゲート、ブール代数、ドモルガンの定理、論理圧縮、バイチ図)、論理素子(DTLTTL、トーテムポール、オープンコレクタ、3状態出力、ワイアードORECLNMOSCMOS)、代表的論理回路(加算器、パリティ、グレイコード、プライオリティエンコーダ)、順序回路(フリップフロップ、SRラッチ、JKTD、トランスペアレントラッチ)、代表的非同期回路(マルチバイブレータ、リップルカウンタ)、代表的同期回路(状態機械、シフトレジスタ、同期カウンタ、リングカウンタ、ジョンソンカウンタ、M系列発生回路)

C.アナログ回路(既習の項目を除き、概ね4週で実施する)

回路基礎(フィードバック、ナイキスト線図、ラプラス変換領域、極零配置、ボード線図、安定判別)、演算増幅回路(仮想接地、バイアス、オフセット、等価雑音、位相補償、利得帯域幅積、スルーレート)、代表的線形回路(反転増幅、非反転増幅、フォロア、加算器、減算器、計装増幅器、微分回路、積分回路)、代表的非線形回路(サンプルホールド、ヒステリシス、整流、クリップ、クランプ、ピーク検出)、実用回路(基準電圧源、多重帰還形能動フィルタ、バタワースフィルタ、ツインT形フィルタ、位相シフタ)

D.応用回路(他科目で実施する項目を除き、概ね3週で選択的に実施する)

発振回路(弛張発振、マルチバイブレータ、正弦波発振、ウィーンブリッジ、水晶発振、コルピッツ、ハートレー)、アナログ乗算器(自動利得調整、可変利得調整、アナログニューラルネット)、非線形信号処理(振幅変調、解析信号、瞬時周波数、直交検波、周波数変調、復調、相関センシング、ロックインアンプ、PLL)、ディジタル信号処理(Z変換、ディジタルフィルタ、積分型A/D変換器、逐次比較形A/D変換器、シグマデルタA/D変換器、フラッシュ形A/D変換器、ラダーD/A変換器、アンチエイリアシングフィルタ)、センサ・アクチュエータ回路(IV変換、VI変換、ブートストラップ、ツイストペア、シールド、ガード、プッシュプル、フォトトランジスタ、CdS、圧電センサ、磁気センサ、ガスセンサ、マイクロフォン、CCD

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評価方法:

1.評価  評価は中間試験と期末試験の単純加算平均によって行う。完全な実力主義とする。出席は評価に加算しない。

2.水準  出題内容はこの授業内容(演習、課題、宿題を含む)と関連する他の科目内容のうち電子回路に関わる全範囲とし、合格水準は全ての項目を理解し、かつ6割水準の説明、計算、考察、分析、設計ができるレベルとする。この水準は技術士1次試験より高いことを明記する。従って、授業に出席せずに合格することは困難であることを理解すること。

3.再試験 特別の事情(病気怪我の医師の診断書提出、その他国際紛争等、学生本人の意思によって解決できない事情)があり、かつ1週間以内に受験できる場合は再試験を実施することがある。また、平素の演習、課題、宿題の提出を求め、オリジナリティのある十分な提出物を9割以上提出している者に限って再試験を認めることがある。再試験を認められた場合は指定の補習を受けた後に、定期試験と同水準の再試験を実施し、同水準の評価を行い判定する。なお、再試験合格の場合は上限を60点とする。

連絡事項:

1.授業方法は講義を中心とし、多くの課題提出(演習、課題、宿題)を求めます。

2.課題提出は必ず行い、また教科書を用いて復習を行い、電子回路を理解してください。

3.定期試験は時間を90分とし、手書きのノート、電卓、ポケコンの持ち込みは可とします。ただしノート等のコピー、パソコン、通信手段(携帯電話等)、教科書、参考書籍等、インターネットのプリントアウト等の持ち込みは不可。

4.本授業は先行授業の修得を前提としています。理解度を確かめながら、先行授業との重複を避け、教育内容を取捨選択して授業を進めます。

5.日頃よりちょっとした回路を作ってみるとか、プロの作った回路設計図を読んでみるとか、トランジスタ技術などの雑誌・書籍を読んでみるとかして、電子回路への興味を持ってください。

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