電気磁気学T(E科 専門科目)         2005年度

 

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科目名:電気磁気学T(英文科目名:Electromagnetic Theory T)

    2単位 選択 電子情報工学科2年 通年 講義+演習

担当教官:森夏樹(居室:専攻科棟5階)

     Tel:0285-20-2228 Email:mori@oyama-ct.ac.jp

授業目的

1. 電気磁気学の学問的確立の歴史過程を概観し、電気磁気現象に興味を持つ。

2. 電荷に働く力を、電界の概念を用いて理解し、ガウスの法則について学ぶ。

  3.導体の電位、コンデンサの静電容量の求め方を学ぶ。

  4.電流の磁気作用を理解し、電流に働く磁気力について学ぶ。

  5.電磁誘導の法則を用いて、誘導起電力の求め方を学ぶ。

達成目標

  1.クーロンの法則から電界の概念を経て、複数の点電荷間の力を求める方法を会得する。

2. ガウスの法則を理解した後、幾つかの電荷分布状態(球状電荷・平面電荷など)における

  電界の計算が出来るようにする。

3. 電位の概念を理解し、色々な状況で電位を求める方法を会得する。

4. コンデンサの静電容量の計算が出来るようにし、誘電体の影響を理解する。

5. 電流間に働く力を磁界の概念を用いて理解し、磁界中の電流ループに働くトルクについて

  理解する。

6.アンペールの法則を用いて、種々の状況での磁界の計算方法を会得する。

7. ファラディの法則を用いて、誘導起電力の計算方法を会得し、インダクタンスの求め方を

理解する。

 

 

教科書

  原康夫「基礎からの電磁気学」学術図書出版(2001

参考書

  高橋寛[監修]、福田務・坂本篤[共著]「(絵ときでわかる)電気磁気」オーム社(2000

  山口昌一郎「基礎電磁気学」電気学会編(オーム社)(1968

学習方法

  予習−毎回の授業の終わりに、次回の授業内容のoutlineを告げ、予め教科書を読んで、分から

     ないところを把握しておく。

  授業−講義内容と黒板の内容をノートに整理して理解する。疑問点を質問する。授業内で行われ

     演習について解答する。

  復習−授業での内容を反復学習し、授業中に出題された演習に全て解答出来なかった場合は、

     その解答を完成させる。

学習保証時間

     100(分/週)×30(週/年)=3000(分/年)=50(時間/年)

 

 

キーワード

  電荷、クーロンの法則、電界、静電誘導、ガウスの法則、電位、導体、コンデンサ、誘電率、

  電流、磁界、磁束密度、右ネジの法則、アンペールの法則、ファラディの法則、インダクタンス

授業内容

0.プロローグ(1週:講義)−電気・磁気の歴史と電磁気学の構成

1章 電荷とクーロンの法則(2週:講義と演習)

(電荷・電気力・保存則・クーロンの法則・電気力とベクトル)

2章 電界とガウスの法則(3週:講義と演習)

 (電界・電気力線・ガウスの法則の基礎と応用・電界の計算(球状電荷等))           

3章 電位(静電ポテンシャル(3週:講義と演習)

 (電界中の仕事,電位)

 <前期中間試験>

(電位の求め方・等電位面・導体の電位)

4章 静電容量(5週:講義と演習)

 (キャパシタンス・静電容量の計算・静電容量と静電エネルギー・誘電体を含むコンデンサ)

<前期末試験>                       

5章 電流(3週:講義と演習)

 (電流密度・電子の運動とオームの法則・直流回路の計算例)

6章 磁界と電磁力(4週:講義と演習) 

 (磁石の磁界・地磁気・電流による磁界・アンペールの法則・電流力・電流ループのトルク)

<後期中間試験>

7章 電磁誘導(5週:講義と演習)

 (ファラディの発見・電磁誘導の法則・電磁誘導の計算例)

 (インダクタンス(自己・相互誘導)

8章 マックスウェルの方程式と電磁波

 (電磁波の方程式・光と電磁波・光の性質)

<後期末試験>

授業方法

  基本的に、講義を中心に授業を進め、毎回の授業の終了前15分程度で、演習問題を解答させる。 

  複雑な内容・図などが出る場合は、プリントを配布して、学生の板書に掛かる負担を軽減させ、  

  授業時間中において、講義内容について考える努力をさせる。

  なるべく質問が出るよう促し、質問のない場合や、居眠りしている学生がいる場合は、教官から

  各学生に質問する。

  欠席による学習の遅れなどは基本的には学生が自分で努力することを求めるが、理解度が著し

  く悪いと判断した場合は、演習課題を与えたり補講を行うなどの手当を行う。

 

 

カリキュラム中の位置付け

  電気情報工学科の全専門科目の中で、基礎をなす科目であり、全学生が一定の基準以上の理解

  度と問題解答能力を身につけさせ、原則的に全員に単位修得させることを教官の使命であると

  認識している。

この科目を学ぶために先行して理解する必要のある科目

  数学(ベクトル和と差、微分、積分)、理科(力と運動、仕事)、

  電気電子工学基礎(電気・磁気:電気情報工学大系)

この科目と同時に学ぶ関連科目

  物理、数学、電気情報工学演習T、電気回路学、電気技術史

この科目の後に学ぶ関連科目

  電気磁気学T(3年次)、電気磁気学U、電磁波工学(以上4年次)、電磁伝送工学、電磁環境

  工学、電磁エネルギー工学(以上5年次)

 

 

評価方法

  定期試験70%、その他、授業中に行う「実力試験」や授業中の課題・授業への取り組みなどの

  努力30%。試験で正解できなかった箇所については、必ずレポートとして提出させる。

 

定期試験実施方法:通常の形式で行い、原則として筆記用具以外は使用を禁ずる(電卓も使用不可)。

連絡事項

  授業内容について随時質問に応じる。電子メールでも可。

学生へのメッセージ

  電気磁気学は電気情報工学科の最も基礎的な科目として重要であると同時に、「完璧な学問体系」

  としての美しさを備えている。講義と演習を通じて、ファラディほか多くの科学者が作り上げた

  「電磁気の歴史」を紙と鉛筆で体験することで、電界と磁界の奏でる美しいハーモニーを心で感

  じ、電磁気学を身近なものとして親しんで頂きたい。

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