電子デバイス工学(E科 専門科目)
2005年度
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科目名: 電子デバイス工学 (英文科目名:Electronic Device Engineering)
2単位 必修 電気情報工学科4年 通年 (講義)
担当教官:森夏樹(居室:専攻科棟5階)
Tel:0285-20-2228 Email:mori@oyama-ct.ac.jp
授業目的:
1.固体中の電子の運動状態を、電子の量子力学的性質から理解する。
2.p形・n形半導体の電子構造とキャリアの輸送特性について学ぶ。
3.pn接合、トランジスタの動作原理をエネルギーバンド構造から理解する。
4.半導体光デバイスの動作原理と固体レーザの原理を学ぶ。
5.その他、熱電デバイス、超伝導デバイスの基礎を学ぶ。
達成目標:
1. 固体中の電子の速度、有効質量、状態密度の概念を把握する。
2. 真性および不純物半導体のバンド構造と電子分布を説明できること。
3. 半導体中の電子の輸送現象から、移動度・キャリア密度などを計算できること。
4. pn接合、トランジスタの特性についてバンド構造を使って説明できること。
5. 発光ダイオード、レーザの原理を理解すること。
6. 量子デバイスの基礎に興味を持つこと。
技術者教育プログラムの学習・教育目標:(A-1)
JABEE基準1の(1)との関係:(d) (2-a)
教科書:斉藤 博、今井 和明、他3名「入門 固体物性 (基礎からデバイスまで)」共立出版(1998)、プリントを配布
参考書:
○宮尾 亘「やさしく楽しい電子デバイス工学」日本理工出版会(1998)
○古川静二郎 他2名共著「電子デバイス工学」森北出版(1990)
1章 固体内の電子状態
1.1 結晶の形成(結晶の種類とその電気的・化学的性質)
・・・1週
1.2 結晶の面指数と方向(結晶の種類、ミラーの指数)
・・・1週
1.3 電気伝導(電子のドリフト運動、移動度、オームの法則)
・・・1週
1.4 固体のエネルギー帯構造(エネルギー帯の形成、金属と半導体) ・・・1週
1.5 金属の自由電子モデル (k空間、状態密度、金属の電子分布) ・・・2週
2章 半導体の物性
2.1 真性半導体の電子分布とフェルミ準位
・・・1週
2.2 不純物半導体の電子分布とフェルミ準位
・・・1週
<前期中間試験>
2.3 半導体の電気伝導(ドリフト電流、拡散電流、ホール効果)
・・・3週
3章 半導体ダイオード
3.1 pn接合(エネルギーバンド構造、接合容量)
・・・2週
3.2 金属/半導体接触(整流性接触、オーム性接触)
・・・1週
3.3 その他のダイオード(トンネルダイオード、ガンダイオード) ・・・1週
<前期末試験>
4章 トランジスタ
4.1 バイポーラ・トランジスタ(静特性とエネルギーバンド構造) ・・・2週
4.2 MOS構造と電界効果トランジスタ
・・・2週
4.3 集積回路の基礎原理
・・・2週
5章 半導体光デバイス
5.1 固体の光学的性質(金属・半導体の光応答) ・・・2週
<後期中間試験>
5.2 光電変換デバイス(太陽電池、フォトダイオード)
・・・2週
5.3 発光・表示デバイス(発光の原理、発光ダイオード、レーザ) ・・・2週
6章 その他のデバイス
6.1 半導体熱電デバイス(熱電効果、ペルチェ冷却素子)
・・・1週
6.2 量子効果デバイス(超伝導デバイス、量子干渉デバイス)
・・・2週
<後期末試験>
授業方法:
基本的に、講義を中心に授業を進め、授業の終了前15分程度で、演習問題を解答させる。
複雑な内容・図などが出る場合は、プリントを配布して、学生の板書に掛かる負担を軽減させ、
授業時間中において、講義内容について考える努力をさせる。
なるべく質問が出るよう促し、質問のない場合や、居眠りしている学生がいる場合は、教官から
その学生に質問する。
欠席による学習の遅れなどは基本的には学生が自分で努力することを求めるが、理解度が著し
く悪いと判断した場合は、演習課題を与えたり補講を行うなどの手当を行う。
評価方法:
定期試験70%、その他、授業中に行う「実力試験」や授業中に出題する課題の解答に対する
評価30%。試験で正解できなかった箇所については、必ずレポートとして提出させる。
定期試験実施方法:通常の形式で行い、原則として筆記用具以外は使用を禁ずる(電卓も使用不可)。
連絡事項:
授業内容について随時質問に応じる。電子メールでも可。
学生へのメッセージ:
学生の皆さんは、先端技術と言うと、情報ネットワーク・知能ロボットなどを思い浮かべること
だろうが、それら全ての基盤となっているのが、LSIを中心とする電子デバイス関連技術とそれ
を支える1電子バンド理論であることに注目して頂きたい。先端技術が現実化した背景を知ると
ともに、21世紀の新しいエレクトロニクスの展望を紹介したい。
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