科目名 : 物理(英文科目名:Physics)
2単位 機械工学科1年生
    電気情報工学科1年生
    電子制御工学科1年生
    物質工学科1年生
    建築学科1年生
 
担当教官 : 柴田洋一 教官室・物理学実験室・同準備室:管理棟3F
       TEL 0285-20-2182  e-mail:shibata@oyama-ct.ac.jp
授業目的:
1.工学と平行する基礎科学としての物理学の学習
2.工業技術者が持つべき科学的思考と方法の理解、修得
3.物理学的自然現象の体験と認識
4.科学計算に必要な数学を、道具として修得する
 
達成目標:
1.論理的な思考を身につけること
2.科学的方法を理解し使えるようになること
3.数式と自然現象が結びつけて考えられること
4.古典力学の基礎的知識を身につけること
 
学習時間:2〔時間/週〕×30〔週/年〕=60〔時間/年〕
 
教科書:第一学習社 高等学校 改訂 物理TB U
演習書:第一学習社 新編 セミナー物理TB+U
参考書:高等学校用物理学習参考書(例 渡辺久夫「親切な物理」正林書院 など)
     大学教養程度の教科書、演習書(例 原康夫「教養物理学」裳華房など)
     理科年表
 
学習方法:
 授業内容は高校課程から踏み出した事柄も扱う。授業ノートをきちんととること。授業中に行う演習は、必ず自ら解答できるようにすること。実験は目的と物理の原理をしっかりふまえ、手順だけをなぞることのないようにする。実験後は報告書の提出を求める。
 
授業内容:
1.速度・加速度・変位
@実験「自転車ダッシュ」 加速運動を行い、距離と時間を測定し、グラフ処理によって速度・加速度・変位の関係を導く ・・・2週
A速度・加速度・変位の講義 ・・・2週
2.相対速度
ベクトルと三角関数の導入、相対速度 ・・・3週
(前期中間試験)
3.重力による運動
@実験「落体の運動」 質量、高さを変えた自由落下運動をさせ、時間を測定し重力加速度g = 9.8〔m/s2〕を得る。 ・・・1週
A投げ上げ運動、放物運動の講義 ・・・6週
(前期試験)
4.力
@実験「水ロケット」 ペットボトルに水を入れ飛ばす。作用反作用を体験する。水の分量と飛行高度の関係を見いだす。 ・・・1週
Aつりあいの力   ・・・2週
5.運動の法則
@ニュートンの運動の法則、力の単位、質量と重量 ・・・2週
A運動方程式(1体・2体・多体) ・・・3週
(後期中間試験)
B様々な力と運動方程式(摩擦力、弾性力) ・・・3週
C実験「つり上げ」 自分自身を吊り上げてみて、各部分に働く力の大きさを測定し、理論計算値と比較し、検討する。 ・・・1週
6.運動量と力積
運動量と力積の関係、運動量保存則、反発係数  ・・・4週
(後期試験)
 
授業方法:
 授業はほぼ毎回前半で理論の講義を行い、後半で演習を行う。演習は必ず自分で解けるよう努める。教師への質問はもちろん、学生どうしでも討論し、理解を深める。
 実験は理論の講義に対応して適宜行う。理論の前に実験を行うこともある。実験を欠席した者については後日補講の実験を行うので、必ず申し出ること。
 
カリキュラムの中の位置づけ:
 技術者が工学と平行して学習するべき「科学」として位置づける。工業高専の学生にとって、物理学はすべての工学分野の基礎知識として大切だが、同時にもっと重要な役割は「科学」としてである。技術(工学)の本質はhow〈どうしよう〉だが、科学はwhy〈なんでだろう〉であり、科学とは自然現象に対する考え方そのもののことを指す。技術者は工学(応用)と科学(思考)の両方の能力をバランスよく身につける必要がある。本講義では思考の過程を重視する。
 
この科目のために先行・平行して学ぶ必要のある科目 : 数学全般
この科目のあとに学ぶ関連科目 : 応用物理
(一般物理と応用物理をあわせて「高専物理学」と位置づける)
 
評価方法:
 前期中間試験、前期試験、後期中間試験、後期試験の4回の試験のほか、実験報告書、課題、出席状況、授業中の演習などを総合評価して行う。特に実験報告書は重視し、試験と実験報告書の比率は約7:3くらいとする。
 
定期試験実施方法:
 試験時間は50分または90分。持ち込み許可物として、電卓を認めることもある。学年最後の総合評価において合格点に達しなかった者は、再試験を行うことがある。それでも合格しなかった者については、次年度に再評価を行うことがある。
 
学生へのメッセージ:
 「ものづくり」に大切なことは、まずモノに対する情熱と十分な知識、触ってみようとする意欲である。そして次に科学的思考能力である。物理学の授業を通して、科学的考え方を身につけて欲しい。そのためには結果を急ぐのではなく、ひとつひとつの論理の過程を大切にすること。演習問題を解く際も結果オーライではダメ。どのような考え方をするのかを学ぶ。