科目名 : 物理(英文科目名:Physics

2単位 機械工学科2年生

 

担当教官 : 朱 勤   

 

授業目的

1.工学と平行する基礎科学としての物理学の学習

2.工業技術者が持つべき科学的思考と方法の理解、修得

3.物理学的自然現象の体験と認識

4.科学計算に必要な数学を、道具として修得する

 

達成目標

1.論理的な思考を身につけること

2.科学的方法を理解し使えるようになること

3.数式と自然現象が結びつけて考えられること

4.古典物理学の基礎的知識を身につけること

 

学習時間:2〔時間/週〕×30〔週/年〕=60〔時間/年〕

 

教科書:第一学習社 高等学校 改訂 物理TB U

演習書:第一学習社 新編 セミナー物理TB+U

参考書:高等学校用物理学習参考書(例 渡辺久夫「親切な物理」正林書院 など)

     大学教養程度の教科書、演習書(例 原康夫「教養物理学」裳華房など)

     理科年表

 

学習方法:

 授業内容は高校課程から踏み出した事柄も扱う。授業ノートをきちんととること。授業中に行う演習は、必ず自ら解答できるようにすること。実験は目的と物理の原理をしっかりふまえ、手順だけをなぞることのないようにする。実験後は報告書の提出を求める。

 

授業内容:

1.力学的エネルギー ・・・2週

仕事の定義、仕事率、運動エネルギー、位置エネルギー、エネルギー保存則

2.回転運動 ・・・1.5

等速円運動、慣性力

(第1回試験)

3.単振動 ・・・2週

バネの振動、単振り子(講義と実験)

4.万有引力   ・・・1.5

(第2回試験)

5.熱学  ・・・4週

熱容量、ボイル・シャルルの法則、熱力学第1法則、熱機関と熱力学第2法則、気体の状態方程式、気体分子運動論、気体の内部エネルギー、気体の比熱

(第3回試験)

6.波動学 ・・・4週

@波の性質(波の表記、横波、縦波、重ね合わせ、干渉、回折、反射、屈折、位相、エネルギー)

A音波(音の性質、発音体の振動、共振・共鳴、ドップラー効果)

B光波(レンズ、分散・散乱、回折・干渉、光のドップラー効果)

(後期試験)

 

授業方法:

 授業は、前半で理論的な講義を行い、後半で演習を行う。必ず自分で解けるよう努める。教師への質問はもちろん、学生どうしでも討論し、理解を深める。

 実験は理論の講義に応じて適宜行うが、理論講義の前に実験を行うことがある。これは、現象から法則を見いだす、という科学的手法を学ぶ目的がある。実験を欠席した者については後日補講実験を行うので、必ず申し出ること。

 

カリキュラムの中の位置づけ:

 技術者が工学と平行して学習するべき「科学」として位置づける。工業高専の学生にとって、物理学はすべての工学分野の基礎知識として大切だが、同時にもっと重要な役割は「科学」としてである。技術(工学)の本質はhow〈どうしよう〉だが、科学はwhy〈なんでだろう〉であり、科学とは自然現象に対する考え方そのものを指す。技術者は工学(応用)と科学(思考)の両方の能力をバランスよく身につける必要がある。本講義では思考の過程を重視する。

 

この科目のために先行・平行して学ぶ必要のある科目 : 数学全般

この科目のあとに学ぶ関連科目 : 応用物理

(一般物理と応用物理をあわせて「高専物理学」と位置づける)

 

評価方法:

 前期中間試験、前期試験のほか、単元が終了したところで試験を行うことがある。成績は試験の他、実験報告書、課題、出席状況、授業中の演習などを総合評価して行う。特に実験報告書は重視し、試験と実験報告書の比率は約7:3くらいとする。

 

定期試験実施方法:

 試験時間は90分。持ち込み許可物として、電卓を認めることもある。学年最後の総合評価において合格点に達しなかった者は、再試験を行うことがある。それでも合格しなかった者については、次年度に再評価を行うことがある。

 

学生へのメッセージ:

 「ものづくり」に大切なことは、まずモノに対する情熱と十分な知識、触ってみようとする意欲である。そして次に科学的思考能力である。物理学の授業を通して、科学的考え方を身につけて欲しい。そのためには結果を急ぐのではなく、ひとつひとつの論理の過程を大切にすること。演習問題を解く際も結果オーライではダメ。どのような考え方をするのかを学ぶ。