平成18年度版
小山高専 技術者教育プログラム

(JABEEプログラム)

1.はじめに

2.本校の技術者教育プログラムが目指す技術者像

3.技術者教育プログラム名と学習・教育目標

4.学習・教育目標の概念図と構成図

5.学習・教育目標とJABEEの共通基準との対応

6.学習・教育の量の基準と学習保証時間

電子システム工学専攻・機械工学科

電子システム工学専攻・電気(情報)工学科

電子システム工学専攻・電子制御工学科

物質工学専攻・物質工学科

建築学専攻・建築学科

7.プログラムの履修対象者

8.プログラムの修了要件

9.他の高等教育機関等で取得した単位の認定方法

10.各学科の教育プログラムを越えて取得した単位の認定方法

11.小山高専の教育点検システム

 

 

小山高専 技術者教育プログラム(JABEEプログラム)概要

 

1.はじめに

 1999年(平成11年)に、産業界と工業系学協会が中心となって日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board of Engineering Education)が設立され、大学など高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが、社会の要求水準を満たしてるか、また国際的レベルであるかどうかを審査、評価して認定する制度が発足しました。すなわち、JABEEは、国内の大学学部相当レベルの工学基礎教育の質とレベルについて、JABEEが主として設定した下記のような共通基準(機械や電気・電子、化学、建築学などのさまざまな受審分野に共通する基準)に基づいて技術者教育プログラムを審査し、認定を行います。したがって、教育プログラムが認定されると、プログラムの品質が保証されるだけでなく、プログラムの修了生は社会的にもまた国際的にも技術者に必要とされる工学基礎教育を修得したものとして保証されることになります。また、技術士第1次試験を免除されて「修習技術者」となることができます。

 

JABEEの学習・教育目標の共通基準

(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養

(b)技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、および技術者が社会に対して負っている責任に関する理解(技術者倫理)

(c)数学、自然科学および情報技術に関する知識とそれらを応用できる能力

(d)該当する分野の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力

(e)種々の科学、技術および情報を利用して社会の要求を解決するためにデザイン能力

(f)日本語による論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力および国際的に通用するコミュニケーション基礎能力

(g)自主的、継続的に学習できる能力

(h)与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力

 

本校では、平成14年度よりJABEEの受審について検討を重ね、平成17年度を目途に認定審査を受ける準備を開始しました。そして、平成15年度内に技術者教育プログラムをほぼ策定し、平成16年度からプログラムを実施、運用しています。

 

 

2.本校の技術者教育プログラムが目指す技術者像

 小山高専は、"技術者である前に人間であれ"を教育方針として開校以来人間教育に基づく実践的技術者の育成に努めてきました。しかし、近年の科学技術の高度化、教育の高学歴化、高度情報化社会、産業や経済の国際化、そして地域社会に開かれた学校など、本校を取り巻く社会環境は大きく変化し、時代や環境変化に即応できる技術者の育成が必要になっています。

 本教育プログラムは、このような状況を考慮して、本校の伝統である豊かな人間性を育てる教育方針は堅持しつつ、高専の特長である早期専門導入教育に基づいた工学基礎および専門基礎教育の系統的で継続的な教育制度を生かし、地域社会や産業界の中だけでなく、21世紀の国際社会で活躍貢献できる個性と人間性豊かなより高度の実践的能力を備えた技術者を育成することを目指しています。

 

 

3.技術者教育プログラム名:

   複合工学系(電子システム工学専攻、物質工学専攻、建築学専攻)

 

 「複合工学系」教育プログラムは、上で述べたような技術者を育成するため、JABEEの基準を踏まえて下記のように具体的な学習・教育目標を設定しています。

 

プログラムの学習・教育目標

(A) 技術者に必要な基礎知識と応用力を身につける。

(A-1)科学や工学の基本的原理や法則の基礎知識を身につけること。

(A-2)基礎知識を専門工学分野の問題に応用して解くことができること。

(A-3)専門分野の課題や問題点を考えるとともに、問題解決の目的と方法を明らかにして自主的に研究を進めることができること。

(B)技術者としての素養を身につける。

(B-1)実験や観察、調査、製作を自ら行い、データ採取や解析、考察を通して結論を導くことができること。

(B-2)数学の知識と、数学と工学をつなぐ基礎的知識を身につけること。

(B-3)技術的課題に広く関心をもち、課題や問題を解決するための全体のプロセスを考察して具現化(デザイン)することができること。

(C)技術と自然や社会とのかかわりを理解する。

(C-1)工業技術が自然や社会環境に与える影響を認識でき、資源やエネルギー、環境を考慮した技術を指向できるようになること。

(C-2)社会・経済と技術の共生の可能性を把握、理解することができること。

(C-3)工業技術者としての社会的責任や倫理観を自覚できること。

(D)コミュニケーション能力を身につける。

(D-1)言語の知識を習得すると同時に、語学力や会話力を身につけること。

(D-2)研究調査や実験の計画を立て、実施し、結果をまとめ、それを口頭で発表して質疑応答ができること。

(D-3)実社会の中で体験したことについて、自分の考えをまとめて発表、報告することができること。

(E)国際的な感覚を身につける。

(E-1)外国の文化や価値観について知り、国際性を身につけること。

(E-2)IT社会やネットワーク社会の国際的な構造や問題点を理解することができること。

(E-3)国際的な情報化社会の中で有用な情報を入手して、問題解決のための分析や考察に活用することができること。

 

 

4.「複合工学系」教育プログラムの学習・教育目標の概念図と構成図

 本教育プログラムの各学習・教育目標はJABEE基準に対して以下のような概念図で示すことができます。図は、計画・設定(Plan)した学習・教育目標(A)〜(E)を実際に実行・運用(Do)し、その結果を評価・検証(Check)して改善(Action)し、再設定するという継続的活動のPDCAサイクルを表わしています。このPDCAサイクルの中で、学習・教育目標 (A)は主として基礎工学および専門工学知識(JABEE基準(d))と自主的、継続的学習能力(g)に、(B)は数学や自然科学、情報技術の知識(c)、問題解決能力(e)、および実行力や完遂能力(h)に関連し、(C)は倫理観や責任感(b)および専門工学(d)に強く関連しています。また、(D)については(d)とコミュニケーション能力や語学力 (f)、(E)は自然・社会との調和(a)および情報技術の知識と応用能力(c)に関連し、このサイクルを繰り返して回るうちにJABEEの各基準を包含した各学習・教育目標の能力を身につけることを示しています。

学習・教育目標のPDCAサイクル概念図

 

 本教育プログラムは工学(融合複合・新領域)関連分野という審査区分でJABEEの認定審査を受ける予定です。上記分野で修得すべき知識・能力は、共通基準で要求されている知識・能力以外に、基礎工学および専門工学の知識・能力が特定されており、特に後述の"8.プログラムの修了要件"の中の(5)のような広範囲の工学知識や能力が要求されています。

 上記のことから、本教育プログラムは本科の全学科および専攻科の全専攻で一つのプログラムとして構成されており、JABEE教育プログラムと本科教育プログラムおよび専攻科教育プログラムとの対応関係は下図のように示されます。すなわち、本科5年間の各学科のカリキュラムの上に専攻科2年間の各専攻のカリキュラムがありますが、その中で、JABEE教育プログラムは基本的には本科5学科の4,5年(プログラム前期課程)と専攻科3専攻の1,2年(プログラム後期課程)のカリキュラムで構成されています。ただし、上記審査分野に対応するために、専攻科の全専攻において共通科目(システムデザイン、他)を開設し、修得できるようにしてあります。

 

JABEE教育プログラムの構成図

 

 

 

5.教育プログラムの学習・教育目標とJABEEの共通基準との対応

  本教育プログラムで設定した学習・教育目標(A)〜(E)とJABEEの共通基準(a)〜(h)の対応関係は、各教科、科目の授業要目(シラバス)に基づいて下表のように関連付けられています。ここで、表中の◎は基準を主体的に含んでいる、○は付随的に含んでいる、という意味です。

 

 

 

 

6.学習・教育の量のJABEE基準と学習保証時間

 JABEEが要求するプログラムの学習・教育の量は下記の通りです。

(1)本科4,5年および専攻科1,2年の4年間の教育プログラムのカリキュラムにおいて、124単位以上を取得していること。

(2)教育プログラムのカリキュラムは、1800時間以上の総学習時間数(教員の教授・指導のもとに行った実際の学習時間:1時間は正味の60分)を有していること。ただし、総時間数の中には、人文科学・社会科学等(語学教育を含む)の学習250時間以上、数学・自然科学・情報技術の学習250時間以上、および専門分野の学習900時間以上を含んでいること。

 

 上記の学習・教育の量に対する本「複合工学系」教育プログラムの教科目名や修得単位、および学習保証時間は、各学科および各専攻でそれぞれJABEE基準の学習保証時間数を満足するように構成されています。

(各学科および各専攻の学習保証時間の表については、下記をクリックして下さい。)

電子システム工学専攻・機械工学科

電子システム工学専攻・電気(情報)工学科

電子システム工学専攻・電子制御工学科

物質工学専攻・物質工学科

建築学専攻・建築学科

 

 

 

7.プログラムの履修対象者

 本教育プログラムは、本科4,5年および専攻科1,2年の4年間のカリキュラムで構成されていますので、プログラム履修対象者は4年次に進級した時点で全員が対象者となる可能性を持っています。しかし、本科5年卒業後に就職する者、また、大学に編入学あるいは別の高等教育機関に進学する者もいますので、最終的な履修者の登録決定は専攻科入学時点で行います。

 ただし、本科5年卒業後に就職希望する者も、将来社会人選抜試験で専攻科に入学する場合はプログラム履修者になることになります。また、大学へ編入学する場合も、編入学先の大学が設定する技術者教育プログラムの履修対象者になる可能性が極めて高いので、本科4,5年時でのプログラム履修が必要とされます。

 

 

 

8.プログラムの修了要件

 本教育プログラムを修了するためには下記の要件を満たす必要があります。

(1)学士の学位を取得すること。

(2)専攻科において62単位以上修得し、専攻科を修了すること。

(3)専攻科および本科4,5年を含めて計124単位以上修得すること。

(4)専攻科および本科4,5年において1800時間以上の総学習時間を経ていること。その中には、250時間以上の人文科学・社会科学等(語学教育を含む)の学習、250時間以上の数学・自然科学・情報技術の学習、および900時間以上の専門工学分野に関する学習の各学習時間を含んでいること。

(5)専攻科および本科4,5年において、プログラムが設定する次の基礎工学に関する科目群の中から少なくとも1科目、合計6科目以上の単位を修得すること。

   @設計・システム系科目群、A情報・論理系科目群、B材料・バイオ系科目群、

   C力学系科目群、D社会技術系科目群

(6)プログラムが指定する必須科目の単位を修得していること。

 

 

 

9.他の高等教育機関等で取得した単位の認定方法

 他の高等教育機関等で取得した単位の認定については、つぎの2つの場合に分けられます。

A.本校の本科4,5年次および専攻科1,2年次に在学中に、他大学などで取得した単位の認定

B.他の高等教育機関等からの本校の専攻科に入学してきた学生が取得した単位の認定

 

A.本校の本科4,5年次および専攻科1,2年次に在学中に、他大学などで取得した単位の認定

 本校の技術者教育プログラム履修対象期間(本科4,5年次および専攻科1,2年次)に他大学などで取得した単位の認定は、つぎのようにします。なお,放送大学で取得した単位は認めていません。

1.該当する学生は、つぎの資料を提出する。

(1) 単位認定願い

(2) 成績証明書あるいは単位取得証明書

(3) シラバス(授業要目)または内容が示せるもの、教科書・ノート等

2.提出された資料について、つぎの基準を満たす場合には、本校の技術者教育プログラムの該当する科目として認める。

a)修得した単位の科目のシラバスと本校の技術者教育プログラムの該当科目のシラバスを照合し、その評価が60点以上の科目については,本校の教育プログラムの単位および学習保証時間として認める。

b)本校の教育プログラムに掲げられた科目群に該当しない科目については本プログラムの単位として認めない。

c)本科4,5学年の学生にあっては、講義時間25時間あたり1単位とする。

  専攻科学生にあっては、講義科目については12.5時間、演習科目については25時間あたり1単位とする。

3.認定する単位数は、本校の技術者教育プログラムにおいて、12単位を超えないものとする。

4.単位の認定については、本校の技術者教育プログラム検討委員会において審議し、校長が単位を認定する。 

 

B.他の高等教育機関等からの本校の専攻科に入学してきた学生が取得した単位の認定

 他の高等教育機関等からの本校の技術者教育プログラムを履修する学生(専攻科入学生) については、出身の高等教育機関等がJABEEの認定校であるどうかにかかわらず、つぎのとおり取り扱うものとします。

1.該当する学生は、専攻科入学時に、つぎの資料を提出する。
(1) 単位認定願い

(2) 成績証明書あるいは単位取得証明書

(3) 履修内容およびシラバス(授業要目)

2.提出された資料について、つぎの基準を満たす場合には、本校の技術者教育プログラ ムの該当する科目として認める。

a)出身の教育機関のカリキュラムと本校の技術者教育プログラムと照合し、教育プログラムに掲げられた科目群に該当する科目については,その評価が60点以上の科目については,本校の教育プログラムの単位および学習保証時間として認める。ただし、1単位(短期大学の場合は2単位)あたり25時間以上の講義時間が確保されていること。

b)本校の教育プログラムに掲げられた科目群に該当しない科目については本プログラムの単位として認めない。

3.単位の認定については、本校の技術者教育プログラム検討委員会において審議し、校長が単位を認定する。 

 

 また、他の高等教育機関等からの本校の専攻科に入学してきた学生については、学修上、つぎのことを配慮します。

1.本校の技術者教育プログラムで必要とする人文科学、社会科学及び外国語、数学・自然科学・情報技術、基礎工学、専門工学等の分野において単位不足の科目が存在する場合、不足する単位を特別に開講する授業や平常授業の受講により修得しなければならない。

2.対象となる科目

  プログラムの科目のうち、第4学年及び第5学年の開講科目に対して単位認定が受けられなかった科目

3.単位の認定

  該当する科目については、受講して、試験の合格をもって本校の技術者教育プログラムの単位として「専攻科の授業科目の履修等に関する規程第8条4項」にもとづいて認定する。

 

 

 

10.各学科の教育プログラムを越えて取得した単位の認定方法

電子システム工学専攻は、本科の機械工学科、電気情報工学科、電子制御工学科で構成され、専攻科のカリキュラムは1つであるが、それぞれの学科が主体となってJABEE対応の教育プログラムを編成しています。学生は電子システム工学専攻のカリキュラムのすべての科目を受講できます。したがって、各学科が作成した教育プログラムのすべての科目を受講できます。各学科の教育プログラムを越えて、受講し、単位を修得した科目はJABEE対応の教育プログラムとして認め、学習保証時間に加えるものとします。

 

 

 

11.小山高専の教育点検システム

技術者教育プログラムの学習・教育目標の設定やカリキュラム、教育方法および教育環境等の改善向上を図るための教育点検システムおよび改善システムの流れは下図のように示されます。教育点検システム全体は基本的に会議や室、委員会群から構成されており、主に次の六つの機能に大別されます。
@ 企画室による全体の中期計画の策定を行う機能

A 運営会議,教職員会議,各学科会議が果たす機能

B 教務委員会、専攻科委員会、技術者教育プログラム検討委員会および地域連携室が果たす機能

C 教育改善推進室と入学者対策室が果たす機能

D 教員、技術職員および学生全体が果たす機能

E 外部評価委員会が果たす機能