独立行政法人国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
〒323-0806 栃木県小山市大字中久喜771番地
代数,幾何学,数論,応用数学など,数学に関連する諸分野についての勉強会を行っております.
専門家・非専門家を問わず参加可能です.是非,皆様のご参加をお待ちしております!!
世話人: 岡崎 勝男,神代 真也,佐藤 宏平,長峰 孝典
第8回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和6年 1月20日(土) 〜 令和6年 1月21日(日)
場所: 小山高専 専攻科棟4階 多目的ホール
- プログラム -
1.1月20日(土) 15:30 〜 16:00
講演者: 松井 泰子 (東海大学)
タイトル: 重み付き頂点彩色問題について
アブストラクト:
与えられたグラフの頂点に,隣接する頂点同士が異なる色となるように最小色数での割当を求める問題を「頂点彩色問題」と呼ぶ.
さらに色に重みが与えられ,各頂点に割当てられた色の重みの総和が最小の頂点彩色を求める問題を「重み付き頂点彩色問題」と呼ぶ.
これらの問題は一般にはNP完全であるが,いくつかのグラフの上では多項式時間で解けることが知られている.
本講演では,「重み付き頂点彩色問題」が多項式時間で解けるグラフクラスと,講演者が提案する多項式時間遅延の列挙列挙アルゴリズムを紹介する.
2.16:20 〜 17:20
講演者: 藤田 慎也 (横浜市立大学)
タイトル: 辺着色グラフにおける虹色4サイクルについて
アブストラクト:
各辺に色が着色されたグラフについて考える。
すべての辺に異なる色が塗られた4サイクルを虹色4サイクルと呼ぶ。
本講演では、辺着色グラフ上の虹色4サイクルの存在に関する辺の色と次数に関する条件について議論する。
3.1月21日(日) 10:00 〜 11:00
講演者: 前澤 俊一 (東京理科大学)
タイトル: グラフ彩色と禁止イマージョン
アブストラクト:
グラフの各頂点から色集合Sへの写像で,任意の隣接する2頂点が異なる色になっているものを彩色という.
また,Sの大きさがk以下であるとき,その彩色をk-彩色と呼び,k-彩色をもつグラフをk-彩色可能と呼ぶ.
t頂点からなる完全グラフをマイナーとして含まないグラフは,(t-1)-彩色可能ではないかというHadwigerによって提唱された予想は,未だに未解決であり盛んに研究が行われている.
近年,この予想をイマージョンの場合ではどうなるかといったことが研究されている.
本講演では,Hadwigerの予想のイマージョンバージョンにおける最近の研究などを紹介する.
4.11:20 〜 12:20
講演者: 小関 健太 (横浜国立大学)
タイトル: 4-正則グラフの H-彩色
アブストラクト:
グラフ G と H に対し,G の辺集合 E(G) から H の辺集合 E(H) への写像 f で,次を満たすものを,G の H-彩色という:G の各頂点 x に対し,H のある頂点 a が存在して,xに接続する辺集合の f での像が a に接続する辺集合と一致する.
これは,通常の辺彩色を拡張した概念であり,いくつかのグラフ H に対して,3-正則グラフの H-彩色は閉路2重被覆予想や5-flow 予想などとの関係から様々な研究がなされてきた.
本講演では,4-正則グラフの H-彩色についての成果を紹介する.
5.14:00 〜 15:00
講演者: 善本 潔 (日本大学)
タイトル: 偶全域木予想について
アブストラクト:
全域木で,その任意の2つの端点の距離が偶数になるものを偶全域木(spanning even tree)と呼び,「正則非2部グラフは偶全域木を持つ」という予想を偶全域木予想と呼ぶ.
正則非2部グラフが2因子を持つときはこの予想は肯定的に解決しており,2因子を持たない場合が未解決である.
本講演では偶全域木予想に関連する予想について考察する.
第7回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和5年 12月15日(金) 14:50 〜 17:00
場所: 小山高専 講義棟1階 講義室
- プログラム -
1.14:50 〜 15:50
講演者: Hoang Le Truong (Institute of Mathematics, VAST, 日本大学)
タイトル: On Ulrich complexity of cubic hypersurfaces
アブストラクト:
In this talk, we examine the presence of Ulrich bundles on cubic hypersurfaces.
We establish necessary and sufficient conditions for the existence of Ulrich bundles of a specific rank r.
As a consequence, we show the existence of a family of cubic hypersurfaces whose Ulrich complexity is 3.
The result is a joint work with Hoang Ngoc Yen and in progress with Kazuho Ozeki.
2.16:00 〜 17:00
講演者: Hoang Ngoc Yen (Thai Nguyen University of Education, Institute of Mathematics, VAST)
タイトル: On the set of Chern numbers in local rings
アブストラクト:
My talk is based on joint work with H.L. Truong and N.T.T. Tam.
In this talk, we characterize Noetherian local rings $(R, \mathfrak{m})$ such that the Chern numbers of certain $\mathfrak{m}$-primary ideals in $R$ bounded above or range among only finitely many values.
Consequently, we characterize the Gorensteinness, Cohen-Macaulayness, generalized Cohen-Macaulayness of local rings in terms of the behavior of its Chern numbers.
第6回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和5年 10月27日(金) 15:00 〜 17:00
場所: 小山高専 講義棟1階 講義室
- プログラム -
1.15:00 〜 15:50
講演者: 笹川 理湖 (新潟大学)
タイトル: 3変数多項式環のレトラクトについて
アブストラクト:
Bを体k上のn変数多項式環とする. Bのk部分代数Aがレトラクトであるとは, BからAへの全射準同型写像$\varphi$で$\varphi|_{A}$が恒等写像になるものが存在するときをいう.
1977年にD. L. Costa氏は「Bのレトラクトは多項式環になるか」という問題を提出し, $n \leq 2$の場合は肯定的であることを証明した.
この問題は$n \geq 4$でkの標数が正となる場合には否定的であることがN. Gupta氏によるZariski消去問題の反例により分かるが, 2019年に長峰孝典氏はn = 3でkの標数が0であるときは肯定的であることを証明した.
本発表では, n = 3でkの標数が正の場合について, Bのレトラクトが多項式環になるための十分条件をいくつか紹介する.
2.16:00 〜 16:50
講演者: 小島 秀雄 (新潟大学)
タイトル: 対数的小平次元が1の非特異アフィン代数曲面について
アブストラクト:
対数的小平次元が1の非特異アフィン代数曲面の構造定理と対数的標準因子公式を紹介する.
その後, その結果を用いてそのような曲面の対数的n重標準束システムがルールドファイブレーションを与えるnの値の範囲について得られた結果を紹介する.
第5回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和5年 5月19日(金) 〜 令和5年 5月20日(土)
場所: 小山高専 専攻科棟4階 多目的ホール
- プログラム -
1.5月19日(金) 16:00 〜 17:00
講演者: 三柴 善範 (東北大学)
タイトル: 正標数多重ゼータ値の線型独立性について
アブストラクト:
実数に値を取る通常の多重ゼータ値の関数体類似として,Thakurは2004年頃に正標数多重ゼータ値を導入した.
本講演ではこれらの定義と基本的な性質を解説した後,正標数多重ゼータ値が張る空間の基底について,Chieh-Yu Chang氏,Yen-Tsung Chen氏および講演者により得られた結果を紹介する.
2.5月20日(土) 11:00 〜 12:00
講演者: 野萩 遼太郎 (大和総研)
タイトル: 公約数ニムの Sprague-Grundy 数について
アブストラクト:
有限型不偏ゲームは, 各局面の先手もしくは後手の一方のみに必勝戦略があることが保証されている.
与えられたゲームの局面全体の集合から, 0 以上の整数全体への関数である Sprague-Grundy 関数の値 (Sprague-Grundy 数) を求めることで, 局面の必勝判定が可能になる.
講演者は公約数ニムという有限型不偏ゲームを導入し, その Sprague-Grundy 関数を決定した.
第4回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和5年 1月 6日(金) 13:00 〜 16:00
場所: 小山高専 専攻科棟4階 多目的ホール
- プログラム -
1.13:00 〜 14:00
講演者: 鈴木 拓 (宇都宮大学)
タイトル: ファノ多様体上の高階極小有理曲線族とその応用
アブストラクト:
ファノ多様体は有理曲線で覆われることが知られており,特に極小有理曲線族と呼ばれるモジュライ空間の性質を調べることの有用性が知られている.
本講演では,その拡張として,高階極小有理曲線族と呼ぶ新たな概念を導入し,その性質について紹介する.
また,その応用として,ファノ多様体が有理多様体で覆われるための充分条件に関する結果や,高次元の線形空間で覆われるファノ多様体の分類結果が得られることを説明する.
2.14:30 〜 15:30
講演者: 山岸 亮 (国立台湾大学)
タイトル: McKay対応とCraw-石井予想について
アブストラクト:
SL_2(C)の有限部分群Gによる商特異点のクレパント解消の幾何学的性質とGの表現論的性質の間には、McKay対応と呼ばれる不思議な関係がある。
この対応は導来圏を用いることで高次元でも自然に定式化されることが知られているが、そのためにはクレパント解消をある種のモジュライ空間として実現することが重要である。
本講演では、「3次元の場合にC^3/Gの任意の射影的クレパント解消がG-constellationのモジュライ空間と同型になる」というCraw-石井による予想が実際に成立することについて解説する。
第3回 数学セミナー
- 開催日程 -
開催日: 令和4年 4月22日(金) 15:00 〜 16:00
場所: 小山高専 専攻科棟4階 講義室 I
- プログラム -
1.15:00 〜 16:00
講演者: 佐藤 悠介 (東京大学・IPMU)
タイトル: 藤木岡特異点解消のオイラー標数
アブストラクト:
足利氏が導入した高次元連分数は孤立巡回商特異点のトーリック特異点解消を与える。
そのトーリック特異点解消は藤木岡特異点解消と呼ばれ、特に二次元トーリック商特異点の場合は極小特異点解消と一致する。
本講演では藤木岡特異点解消の位相的オイラー標数を連分数を用いて計算する公式を導出し、もし藤木岡特異点解消がクレパントであるならばそのオイラー標数が群の位数と一致することを示す。
これはBatyrevが1999年に与えた結果の、巡回商特異点の藤木岡特異点解消に限定した別証明である。
※開催場所・時刻など,予告なく変更されることがあります.