専攻科/複合工学専攻

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JABEEプログラム概要

小山工業高等専門学校 技術者教育プログラム(JABEEプログラム)

(令和5年1月6日更新)

小山高専では、本科4年次から専攻科2年次までの4年間のカリキュラムで構成される技術者教育プログラム「複合工学系(複合工学専攻)教育プログラム」が設定されています。
この教育プログラムは、日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board of Engineering Education)からの認定を受けています。

1.JABEE認定制度

1999年(平成11年)に、産業界と工業系学協会が中心となって日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board of Engineering Education)が設立され、大学など高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが、社会の要求水準を満たしているか、また国際的レベルであるかどうかを審査、評価して認定する制度が発足しました。
JABEEに認定された教育プログラムは、プログラムの品質が保証されるだけでなく、プログラムの修了生は社会的にも,国際的にも技術者に必要とされる工学基礎教育を修得したものとして保証されることになります。また、技術士第1次試験を免除されて「修習技術者」となることができます。

 

2. 本校でのJABEEへの取組

本校の「複合工学系(複合工学専攻)」教育プログラムは、2005年度(平成17年度)から継続してJABEEの認定を受けています。
JABEEについて詳しく知りたい方は,日本技術者教育認定機構(JABEE)のサイトを参照してください。
不明なところがあれば,本校のJABEE委員会に問い合わせてください。

 

3. 本校の技術者教育プログラムが目指す学習・教育目標及び技術者像

本校は、”技術者である前に人間であれ”を教育理念として開校以来人間教育に基づく実践的技術者の育成に努めてきました。
近年、科学技術の高度化、教育の高学歴化、高度情報化社会、産業や経済の国際化、そして地域社会に開かれた学校など、本校を取り巻く社会環境は大きく変化し、時代や環境変化に即応できる技術者の育成が必要になっています。
本教育プログラムは、このような状況を考慮して、本校の伝統である豊かな人間性を育てる教育理念は堅持しつつ、高専の特長である早期専門導入教育に基づいた工学基礎及び専門基礎教育の系統的で継続的な教育制度を生かし、地域社会や産業界の中だけでなく、21世紀の国際社会で活躍貢献できる個性と人間性豊かなより高度の実践的能力を備えた技術者を育成することを目指しています。
これらのことは本校の教育理念とともに、育成する人財像、行動目標、教育方針、並びにディプロマ・カリキュラム・アドミッションポリシーの三つのポリシーにも包含されており、JABEEプログラムとしてもこれらの流れを汲んだ学習・教育目標、技術者像を掲げています。 

〇学習・教育目標
 専門工学分野の知識を生かすとともに、広く社会的、地球的視野を持った考え方や生き方ができる技術者の養成

〇育成しようとする技術者像
 産業界だけでなく、地域や国際社会で活躍できる、人間性豊かな創造的、実践的技術者

 

4. 技術者教育プログラムの学習・教育到達目標

「複合工学系教育プログラム」は、上で述べたような技術者を育成するため、JABEEの基準を踏まえて以下の具体的な学習・教育到達目標を設定しています。これらは、本校の教育方針①~⑥とも関わっています。

学習・教育到達目標はこちら

○プログラムの学習・教育到達目標
(A)科学や工学に関する基本的知識を習得し、専門工学分野の問題に応用して適切な解を求められる。
   キーワード:科学や工学の専門知識
   教育方針:③、④
(B)問題点を把握し、俯瞰的な考察に基づく科学的方法を駆使しながら協働で作業し、主体的に結論を導く姿勢
    を保てる。
   キーワード:問題解決能力とチームワーク
   教育方針:②、④
(C)数学及び自然科学に関する基礎知識を習得し、それらを総合的に応用できる。
   キーワード:数学と自然科学
   教育方針:③、⑤
(D)科学・技術が自然や社会に与える影響を、豊かな人間性を備えた技術者としての視点に基づいて理解でき
         る。
   キーワード:技術者倫理
   教育方針:①
(E)グローバル社会で通用する研究調査や実験の計画を適切に立てて結果を論理的にまとめ、外国語も用いて正
         確に他者に理解してもらうことができる。
   キーワード:コミュニケーション
   教育方針:⑤、⑥

〇 小山高専の教育方針
 ① 豊かな人間性の涵養
 ② 豊かな感性と創造力の育成
 ③ 自然科学・英語・専門基礎科目の学力向上
 ④ 高度な専門知識と問題解決能力の育成
 ⑤ 情報技術力の向上
 ⑥ コミュニケーション能力と国際感覚の育成

 

5. 教育プログラムの学習・教育到達目標とJABEEの共通基準との対応

本教育プログラムで設定した学習・教育到達目標(A)~(E)とJABEEの共通基準(a)~(i)の対応関係は、各教科、科目の授業要目(シラバス)に基づいて下表のように関連付けられています。ここで、表中の◎は基準を主体的に含んでいる、○は付随的に含んでいる、という意味です。

JABEEの共通基準(基準1.2)
(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
(b)技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対して負っている責任に関する理解(技術者倫
           理)
(c)数学、自然科学及び情報技術に関する知識とそれらを応用できる能力
(d)該当する分野の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力
  ①専門工学の知識と能力
  ②いくつかの工学の基礎的な知識・技術を駆使して実験を計画・遂行し、データを正確に解析し、工学的に考
             察し、かつ説明・説得する能力
  ③工学の基礎的な知識・技術を統合し、創造性を発揮して課題を探求し、組み立て、解決する能力
  ④ (工学)技術者が経験する実務上の問題点と課題を理解し、適切に対応する基礎的な能力
(e)種々の科学、技術及び情報を利用して社会の要求を解決するためにデザイン能力
(f)日本語による論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力及び国際的に通用するコミュ
            ニケーション基礎能力
(g)自主的、継続的に学習できる能力
(h)与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力
(i)チームで仕事をするための能力

なお、「複合工学系」教育プログラムの学習・教育目標、JABEE共通基準及び本校教育方針との関係は次のとおりです。

 

6. プログラムの履修対象者

本教育プログラムは、本科4、5年及び専攻科1、2年の4年間のカリキュラムで構成されていますので、プログラム履修対象者は4年次に進級した時点で全員が対象者となる可能性を持っています。
しかし、本科5年卒業後に就職する者、また、大学に編入学あるいは別の高等教育機関に進学する者もいますので、最終的な履修者の登録決定は専攻科入学時点で行います。
ただし、 本科5年卒業後に就職希望する者も、将来社会人選抜試験で専攻科に入学する場合はプログラム履修者になることになります。また、大学へ編入学する場合も、編入学先の大学が設定する技術者教育プログラムの履修対象者になる可能性が極めて高いので、本科4、5年時でのプログラム履修が必要とされます。

 

7. プログラムの修了要件

本教育プログラムを修了するためには以下の要件を満たす必要があります。
(1)学士の学位を取得すること。
(2)専攻科において62単位以上修得し、専攻科を修了すること。
(3)専攻科及び本科4、5年を含めて計124単位以上修得すること。
(4)専攻科及び本科4、5年において人文科学・社会科学等(語学教育を含む。)を10単位以上、数学・自然科
            学・情報技術を10単位以上、及び専門工学分野36単位以上を修得すること。
(5)専攻科及び本科4、5年において、プログラムが設定する次の基礎工学に関する科目群の中から少なくとも
           1科目、合計6科目以上の単位を修得すること。
    ①設計・システム系科目群、②情報・論理系科目群、③材料・バイオ系科目群、
    ④力学系科目群、⑤社会技術系科目群
(6)プログラムが指定する下記の必修科目12単位(6科目)を修得すること。
    ①システムデザイン、②環境技術、③技術者倫理、④経営工学、⑤プロジェクトデザイン、
    ⑥産業財産権
(7)本プログラムの5つの学習・教育到達目標について、次表に示される評価方法をすべて満たすこと。

なお修得とは、各科目のシラバス記載の各到達目標が、明示された評価方法により60%以上達成されていると認められたうえで、科目として合格することである。

学習・教育到達目標

目標の到達基準

(A)科学や工学に関する基本的知識を習得し、専門工学分野の問題に応用して適切な解を求められる。

・修得した科目の評価を、S評価=4、A評価=3、B評価=2、C評価=1として計算した、Grade Point(GP)の平均は2.0以上であること。
・これらの科目を20単位以上修得すること。

(B)問題点を把握し、俯瞰的な考察に基づく科学的方法を駆使しながら協働で作業し、主体的に結論を導く姿勢を保てる。

・最終的に本科の卒業研究もしくは専攻科の特別研究の成果について1回以上、外部発表を行うことで評価する。

(C)数学および自然科学に関する基礎知識を習得し、それらを総合的に応用できる。

・修得した科目の評価を、S評価=4、A評価=3、B評価=2、C評価=1として計算し、修得した科目のGPの平均は2.0以上であること。
・これらの科目を12単位以上修得すること。

(D)科学・技術が自然や社会に与える影響を、豊かな人間性を備えた技術者としての視点に基づいて理解できる。

・「環境技術」および資源やエネルギー、環境に関連した科目のGPの平均は2.0以上であること。ただし、これらの科目は6単位以上修得すること。

(E)グローバル社会で通用する研究調査や実験の計画を適切に立てて結果を論理的にまとめ、外国語も用いて正確に他者に理解してもらうことができる。

・TOEIC400点以上もしくは、同等以上のスコアを得ること。