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平成 23年 第1回 電子制御工学科 西野聰

歴史小説を通してみた「武士の登場」と現代政治


 私は歴史小説(戦記ものを含む)が好きで、就寝前に気分転換として読んでいる。吉川英治の「新・平家物語」「私本太平記」「源頼朝」・・・・、司馬遼太郎「覇王の家」「国取り物語」・・・・。平安末に武士が発生し平将門の乱、源平時代を経て頼朝が初めて武家政権の鎌倉幕府を開きその後武士の時代となる。源氏は頼朝、頼家、実朝、の三代で滅び、その後北条氏が実質的に政権を取り、南北朝、足利幕府を経て戦国時代後に徳川幕府が成立する。これらにかかわる戦記・歴史小説を読みまくった。


 その後、小説で読んだ断片的な知識を整理し、小説としてのフィクションを除外するために、日本の歴史6・竹内理三(文化勲章受賞の歴史学者:東大教授、早大教授を歴任)著「武士の登場」中公文庫を読んだ。事実として明らかなのは権力奪取や安定のために、兄弟同士の殺し合い、親の殺害・追放、主な創業貢献者の殺害が常に行われていることだ。たとえば、頼朝の父源義朝は自分の父親の為義を、頼朝は弟の義経、範頼、旗揚げ時に一万以上の軍勢を伴って駆けつけた上総介広常を殺している。また、足利尊氏は力を合わせて戦ってきた弟直義(ただよし)を殺している。「歴史は権力闘争にからむ人間ドラマの反映である」と言うことだ。本来ならば歴史に学び、反省しなければならないはずが、現代政治をみると全く歴史に学んでいるとはいえない。政治抗争での対立者の抹殺(現代の先進国では殺し合いまではやらないが、これ以外の国では最近のリビアでのカダフィ殺害のように殺し合いがいまだに行われている。ロシアしかり)が行われる。この愚かしさは永遠に繰り返される。


(電子制御工学科  西野 聰)