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平成 28年 第1回 機械工学科 藤井敬士

高専なのにどうして国語を勉強するの?


 ときどき、学生からこんな言葉を聞くことがあります。でも、これはとても大切な事なので、あらためて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。


 皆さんの進路は就職・進学に分かれますが、やがて全員が就職をすることになるでしょう。そこで皆さんを待っているものは、会社での仕事です。一生懸命に、物を作ることや新しい技術を生み出すことになると思います。


 でも、本当はそれだけではないのです。「将来の会社を背負っていく役割」も皆さんを待っています。新入社員としての仕事が始まるだけではなく、やがて将来の会社のリーダーになってほしいとの期待もされているのです。ただリーダーと言っても漠然としていますね。そこで、就職して10年後・20年後の自分を考えてみましょう。30歳になった頃は、きっと2〜3人の若い部下がいてその技術開発をしているリーダーになっているでしょう。40歳になった頃はもっと人数が多くなって、規模の大きな仕事を進めているリーダーになっていると思います。


 このとき、あなたのリーダーとしての仕事は次のようになっています。詳細な設計や技術開発は、もう部下が実行します。皆さんは、どんなものを開発するのか、その方向性と特徴をまず決めます。次にそれを実現するために関係者にそれを正確に理解させ、全員が同じ思いで仕事ができるようにします。そのために自分の設計思想を理解させる部下への指導が重要な仕事になります。関係部署との調整や依頼なども大きな仕事になっているでしょう。


 そのとき、リーダーに求められる知識や能力は何でしょう。それは技術的な理論知識だけではありません。

 1、「作るものはどうあるべきか」自分の考えを作ること。
 2、その「あるべき姿」を決めたら、具体的な目標性能を決めること。
 3、自分の考え・目標を、部下・関連部署の人に伝え、理解させグループが統一された意思で一つの製品開発に向かうこと。

「あるべき姿」を考えるときは、製品を使う人の心を理解する力が必要です。物を作る部下・関係者に自分の考えを伝えるときは、誤解がないように端的で的確な言葉を使いこなせることが必要になります。仕事が困難なとき、負けない強い心と部下を勇気づける言葉が必要になります。


将来のために、たくさんの言葉を知ること、人の心を理解すること、言葉で人に伝えること、これらが大切です。そのために国語の勉強と読書をしたことが皆さんの大切な助けになると思います。

(機械工学科  藤井 敬士)