活性汚泥プラントの写真 その2


放流の前に、処理水と活性汚泥を分離しなければなりません。
活性汚泥の中の微生物(群)は、廃水を分解すると同時に自らを増やしていきます。
従って、廃水を分解する限り、活性汚泥は日々増殖しているわけです。
しかし、この増えた活性汚泥は、そのままにしておくと濃くなっていきます。
そうすると酸欠などが起こり、廃水が処理できなくなります。
そのため、活性汚泥を運転途中もしくは終了後に抜き出して処分します(余剰汚泥)。


 

活性汚泥と処理水は浮上分離法や、静止法などによって分離されます。
写真は静止法です。活性汚泥を沈殿させて、上澄み(処理水)を取り除き、濃縮します。


 
処理された水は、pH処理/薬品処理/オゾン処理等の後に放流されます(高度処理)。
廃水は、活性汚泥によって魚が住めるくらいにまで清澄化されています。
この水はこの後、河川に放流されます。


では続いて、濃縮された活性汚泥はどうなるのでしょうか?


 
左図までゆっくりと濃縮された活性汚泥は、右図の汚泥消化槽まで送られます。
汚泥消化槽に送られた汚泥は、加温・撹拌され、嫌気微生物の働きによって、
水とメタンガスに分解され、更に量が減ります。
※量を減らすのは、処分費を抑えるためです!
この時出たメタンガスは、加温用の燃料として再利用されています。



 
減量された活性汚泥は、ろ布などによって吸引脱水されます。
(遠心脱水法なども使われています)



脱水された活性汚泥です。廃水を処理する微生物(群)の死体(?)でしょうか。
微生物(群)の死体(?)は、意外に栄養分が多いため、
今までは、肥料やブロック材・道路工事などの埋め戻し材に使用されていました。
が、あまりにも大量に排出されるため、使いきれず、現在は焼却処分されています。
※1日に廃水処理場1ヶ所につき、数トンも出るのです!

大規模な廃水処理施設は、自前の燃焼炉で処理を行っています。
栃木県の中〜小規模の廃水処理施設では、上記の汚泥を、
栃木県下水道資源化工場にトラックで運んで処理を行います。


 

[汚泥→溶融炉(数千度以上)→スラグ化]
溶融炉は、一気に数千度以上で熱を加えるため、
活性汚泥の中のほとんどの成分が瞬時に気化し、残るのは上記のようなミネラル塩です。
黒いのはススと思われます。このスラグには2種類あります。
溶融状態のスラグを空冷で徐々に冷やすと右図のような石状に、
水冷で一気に冷やすと左図のような砂状になります。
主に道路の埋め戻し材に使用されていますが、石状のものは強度に乏しい為(砕けやすい)、
現在は水冷で砂状に作っているようです。



このように私たちの生活廃水は微生物(群)の頑張りによって、
日々分解処理されています。
微生物(群)の能力を超えるような無茶な廃水を出さないよう、心がけて下さい。



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制作担当:田中孝国/小山高専・物質工学科
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