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初心者向け はんだ付け講座 - 第3回「電子部品や電線のはんだ付け」

投稿者:2G 加藤


前回までは、はんだ付けの基本的な手順について解説してきました。


今回は、色々な種類の電子部品のはんだ付け方法や注意点、そして電線のはんだ付け方法について解説します。



色々な部品のはんだ付け


電子部品には色々な形のものがあります。


大きく分けて「アキシャルリード部品」と「ラジアルリード部品」という2つに分けられます。



アキシャルリード部品は、部品本体に対して左右にリード線がびている形の部品です。アキシャル(axial)とは「じく上の」という意味です。


この形の部品はたいてい、リード線のフォーミングが必要になります。


アキシャルリード部品
アキシャルリード部品
アキシャルリード部品のフォーミング
アキシャルリード部品のフォーミング

ラジアルリード部品は、部品本体から一方向にリード線が伸びている形の部品です。ラジアル(radial)とは「放射状の」という意味です。


この形の部品は、もとから2.54mmピッチの穴にはまる間隔でリード線が出ていることが多いですが、自分でリード線をフォーミングしなければならないこともあります。


ラジアルリード部品
ラジアルリード部品
ラジアルリード部品のフォーミング
ラジアルリード部品のフォーミング

部品の傾きのチェック


特にラジアルリード部品をはんだ付けするときは、部品のリード線を一つ付けたら、基板を裏返してみましょう。部品がかたむいて付いてしまっていることがあります。


一つ付けたら裏返してみる
一つ付けたら裏返してみる
傾いて付いてしまった!
傾いて付いてしまった!

そんな時は、もう一度加熱しながら傾きを直すわけですが、リード線を直接手で持つと火傷してしまいます。


ピンセットやラジオペンチなどでリード線をはさみながら、慎重しんちょうに傾きを直しましょう。


傾きの確認と修正が終わったら、ほかのリード線も忘れずはんだ付けしましょう


ピンセットで挟みながら修正
ピンセットで挟みながら修正
修正完了!
修正完了!

切断したリード線を取っておこう


部品を基板に付け終えると、切断したリード線がたくさん残ります。このリード線は基本的には不燃ごみなのですが、長めのものを捨ててしまうのはもったいないです。


部品のはんだ付け完了
部品のはんだ付け完了
切断したリード線
切断したリード線

長めのリード線は、何か小物入れに入れて取っておきましょう。


これは、ユニバーサル基板のはんだ面で、部品と部品をつなぐ配線として利用できたり、ジャンパ線として利用できたりします。


通常、こういった用途ようとには「スズメッキ線」という物をつかうのですが、短い配線やジャンパならばリード線を再利用したほうが"エコ"です。


何かに入れて取っておこう
何かに入れて取っておこう
はんだ面の配線として利用可能
はんだ面の配線として利用可能



電線のはんだ付け


電子部品と同様に大切なのが「電線」です。


基板と基板を電線でつないだり、電池ボックスをつないだり、センサーをつなりだり、電線をうまくはんだ付け出来るかどうかは、電子工作にはとても重要になります。


ここでは電線の加工と、電線のはんだ付けについて解説します。



被覆の剥ぎ取り


たいていの電線は、ビニルなどでおおわれています。この被覆ひふくを剥ぎ取るには、いくつかの方法があります。


ニッパーによる方法


ニッパーのの根元に小さな穴が空いている場合、この穴に電線を入れて、少しひねるようにして強く引っ張ると、被覆がきれいに剥ぎ取れます。


力のかけ方が結構難しいです。強すぎず、弱すぎず、練習が必要かもしれません。


ひねるようにして引っ張る
ひねるようにして引っ張る
被服が剥げた
被服が剥げた

ワイヤーストリッパーによる方法


「ワイヤーストリッパー」という、被服を剥ぐための専用工具です。


電線の径に合わせて、たくさんの大きさの穴が空いているため、ひねったり力を加減したりする必要がなく使用できます。


少しお高いですが、専用工具なのでとてもきれいに簡単に被服を剥げます。


電線の径に合わせて穴を選ぶ
電線の径に合わせて穴を選ぶ
握ってちょっと開いてスライドさせるだけ!
握ってちょっと開いてスライドさせるだけ!

カッターによる方法


カッターナイフで被覆の部分だけを、ぐるりと一周切り、剥ぎ取る方法です。


電線をくるくる回しながら、カッターの刃の上に押しあてて、すべらせながら切ります。


被覆を取る時はちょっと回しながら引っ張るようにすると、もし一周きれいに切れていなかったとしても、少しならばけて外れてくれます。


一番練習が必要で、かつ危険な方法ですが、きれいに出来るようになると早くて便利な方法です。


コツは、切れ込みを入れる際の力加減が全てです。強すぎると中の導線まで切れてしまいます。


くれぐれもケガには気を付けて、練習してください。


刃の上を回しながら滑らせて切る
刃の上を回しながら滑らせて切る
ちょっと回しながら引っ張る
ちょっと回しながら引っ張る

きれいに剥げた
きれいに剥げた

電線の撚りとはんだメッキ


被覆を剥ぎ取った電線は、ばらけない様にります。


きれいに撚るためには、指先に力を込めて、ひねりながら引っ張るのがコツになります。


捻りながら引っ張る
捻りながら引っ張る
きれいに撚れた
きれいに撚れた

撚った電線に薄くはんだをコーディングすることで、ばらけるのを防ぎます。これを「はんだメッキ」と呼びます。


部品の端子たんしや基板とはんだが馴染みやすくなる「予備はんだ」としての役割もあります。


ラジオペンチなどを使って電線をうまく固定し、こてと糸はんだを滑らせるようにして全体をコーティングしていきます。


この時、あまり厚くならないようにしてください。撚った電線一本一本の凹凸が残るくらいがベストです。


ラジオペンチで固定して加熱
ラジオペンチで固定して加熱
滑らせながらはんだを流していく
滑らせながらはんだを流していく

はんだメッキ完了
はんだメッキ完了

その後は、電子部品と同じように基板に挿し込んではんだ付けをします。


はんだメッキが厚くなってしまっていると、上手く穴を通らないかもしれないので、その時はやり直して下さい。


厚いと途中で引っかかってしまう
厚いと途中で引っかかってしまう
穴を通ったらはんだ付け
穴を通ったらはんだ付け

電線のはんだ付け完了
電線のはんだ付け完了
余りを切るのも忘れずに
余りを切るのも忘れずに


電線同士のはんだ付け


はんだ付けで電線同士をつなぐ方法を紹介しょうかいします。


まずは被覆を剥いだ電線同士をクロスさせ、おたがいに巻き付け、撚り合わせた状態にします。


電線同士をクロス
電線同士をクロス
お互いに巻き付ける
お互いに巻き付ける

撚り合わせた状態
撚り合わせた状態

この部分にはんだメッキを行い、固定します。ある程度ならば引っ張る力がかかっても、外れません。


接続箇所にはんだメッキ
接続箇所にはんだメッキ
はんだメッキ完了
はんだメッキ完了

固定後は、電線がどこかとショートしないように、ビニールテープなどを巻いて絶縁ぜつえんしましょう。


ビニールテープなどで絶縁しよう
ビニールテープなどで絶縁しよう





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