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初心者向け はんだ付け講座 - 第4回「電子工作キットを作ってみよう」 前編
投稿者:2G 加藤
はんだ付けの方法がわかって、何かを作ってみたい。だけど何を作ればいいかわからない。
そんな時は「電子工作キット」を作ってみましょう。
初心者向けから上級者向けまで、色々なキットがありますよ!
電子工作キットの入手
はんだ付けを伴う電子工作キットは、電子パーツ屋さんが設計し、販売していることが多いです。
実店舗で買うとすると、秋葉原・日本橋などの電気街でしか、ほぼ入手できません。
ほとんどの場合、電子パーツ屋さんの通販サイトで購入するのが良いでしょう。
以下に、キットを販売している代表的な電子パーツ屋さんのホームページを紹介します。
秋月電子通商
電子パーツ屋さんとして非常に有名な「秋月」こと、東京 秋葉原の秋月電子通商です。
電子工作キットも初心者向けの単体で動くものから、中上級者向けのセンサーモジュールまで幅広く扱っています。
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共立エレショップ
大阪 日本橋の電子パーツ屋さん、共立電子産業が運営する通販サイトです。
「ワンダーキット」や「デジットキット」などのオリジナルブランドを主軸に、他社キットも広く取り扱っています。
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せんごくネット通販
「秋月」と並び東京 秋葉原のパーツ屋さんとして有名な「千石」こと千石電商が運営する通販サイトです。
電子工作キットは他社キットの委託販売がほとんどで品ぞろえが被るものも多いですが、その幅広さと、ほかのサイトにはない小規模な会社のキットを扱っていたりするのが特徴です。
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スイッチサイエンス
実店舗はなく、通販のみで営業しているパーツ屋さんです。
マイコン系の部品の品ぞろえが豊富なのと、「SparkFun」や「Seeed Studio」等の海外パーツも豊富に扱っています。
またスイッチサイエンスの通販は、小型部品ならば配送料がとても安く抑えられていて、配送料が無料になる金額も低めなのが嬉しいポイントです。
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その他
Amazon、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの一般的な通販サイトでも電子工作キットを購入できるようです。
デジタル時計キットの制作 1
今回は秋月電子通商で購入した「PICマイコンデジタル時計キット Ver.3」を制作してみました。
部品はすべてスルーホール部品で、しかし部品量はたっぷりで、はんだ付け初心者にはやりごたえのあるキットではないでしょうか。
秋月電子の通販コードは「K-01996」で、価格は2,000円(2021年7月現在)でした。
開封と部品確認
ではさっそく作っていきましょう。袋を開けて、中身を取り出してみます。
説明書に書いてある部品表を見ながら、すべてのパーツがあるか確認します。
といってもどれがどのパーツか、しかも部品の値などは、初心者には分からないこともあるので、ざっと確認してきます。
細かい部品は転がってなくさない様に、パーツ皿を用意してそこに開けましょう。パーツ皿は使い捨ての紙皿や、100円ショップの植木鉢の受け皿などがおすすめです。
今回のキットは1枚の基板を手で折って、2枚に分けてはんだ付けをするようです。まずはこれを行います。
実際にやってみると、結構力を入れないと折れませんでした。力の入れすぎでどこかにぶつけない様に注意してください。
抵抗のはんだ付け
はんだ付けをしていく時には決まり事があり、背の低い部品から付けていくのがやりやすい順番となっています。
今回の部品の中では、抵抗が一番背が低い部品になるため、これから付けていきましょう。
抵抗の大きさは全部同じなため、どの順番から付けても同じなのですが、ここは部品番号「R1」から付けていきましょうか。
R1は10kΩです。抵抗はカラーコードと呼ばれる帯の色で抵抗値を判別します。10kΩのカラーコードは「茶黒橙金」です。
抵抗のリード線をフォーミング(整形)して、基板のR1の表記のある所へ挿入します。
抵抗には極性がないので、向きはどちら向きでも構いません。
そして裏側を4ステップではんだ付けしましょう。
R2からR4まではすべて10kΩです。
どんどんフォーミングして付けていきましょう。
さて次はR5ですが、R5は4.7kΩです。カラーコードは「黄紫赤金」です。
R5からR8まではすべて4.7kΩですので、これも一気にいっちゃいましょう。
次のR9からR12までは、再び10kΩです。どんどん付けます。
次のR13は470Ωです。カラーコードは「黄紫茶金」です。
4.7kΩと色が似ているので、間違えないようにしましょう。
となりのR14は10kΩです。これで10kΩはすべて付け終わりました。
次はR15からR19で、すべて4.7kΩです。
たくさんの部品を一気に付けるとき、基板を裏返す際に部品が基板から浮いてしまって、ぴったり付かないことがたまにあります。
そんな時は、セロファンテープやマスキングテープなどで仮止めをするといいですよ。
さて一気に付けていきます。
むむっ?付け終わったあとによく見ると、穴が空いている?
おーっと危ない、テンプラはんだ気味ですね。一応付いていますが、少し力が加わると剥がれてしまいそうです。
一気にはんだ付けすると雑になりがちですね。もう一度しっかり加熱して、はんだを追加して、修正します。
次はR20で470Ωです。
さらにその次は、R21からR27まですべて220Ωです。カラーコードは「赤赤茶金」です。
抵抗のはんだ付けも、もう少しです。
R28が4.7kΩ、R29が1kΩ カラーコードは「茶黒赤金」、R30 が4.7kΩです。
すべての抵抗が付いたら、もう一度抵抗値が正しいか、はんだのフィレットが良いかをチェックしましょう。
積層セラミックコンデンサのはんだ付け
次に背の低い部品は、積層セラミックコンデンサでしょうか。青色のラジアルリード部品です。
積層セラミックコンデンサは、C2,C3,C5が0.1μF(マイクロファラド)です。表記は「104」と書かれています。
積層セラミックコンデンサには極性はありませんので、向きはどちら向きでも大丈夫です。
斜めにならない様に、そして基板から浮かない様にはんだ付けしましょう。
C6は10pF(ピコファラド)です。表記は「10」と書かれています。
これも浮かない様に付けましょう。
ICソケットのはんだ付け
次に背の低い部品はICソケットです。
ICは熱に弱い部品であることと、壊れた時やプログラムを書き換えるときにすぐ交換出来るように、ICソケットに差し込んで使うことが多いです。
このキットでは、28pin IC用の大きなソケットと、16pin IC用の小さなソケットの2つが入っています。
ICやICソケットには向きがあり、矢印の部分に切り欠きがあります。
この切り欠きの向きを、基板の印字と揃えて挿入しましょう。
さて、はんだ付けをしていくわけですが、ICソケットのような足(端子)がたくさんある部品をはんだ付けするときに大切な手順があります。
それは、一度に全ての足をはんだ付けするのではなく、対角の2か所をまずはんだ付けすることです。
対角2か所をはんだ付けした後に、一度裏返して、斜めに付いていないかを確認してください。
もし斜めに付いてしまっていて修正する場合に、全部の足がはんだ付けされていると、一度全てのはんだを吸い取らないと上手く修正できません。
対角2点だけなら、加熱しながら基板を平らに押してあげると、簡単に修正できます。
もう一度裏返して、平らになったことを確認したら、他の全ての足をはんだ付けしましょう。
このように、2回に分けてはんだ付けしたほうが結果的に速く奇麗になることがあります。
同じ手順で、小さいほう(16pin)のICソケットもはんだ付けしましょう。
三端子レギュレータのはんだ付け
次に背の低い部品は、三端子レギュレータです。
この部品は一見するとかなり背の高い部品に見えますが、縦付けするか横付けするかで高さが大きく変わってきます。
今回の基板は、リード線を90°曲げて横付けするように作られていますので、背が低い部品の部類に入ります。
ラジオペンチなどで90°にフォーミング(整形)して、基板に挿入します。このときに文字が書いてある側が上になるようにします。
はんだ付けするときは、しっかりリード線とランドを加熱しましょう。
三端子レギュレータは電源部分に使われるので、たくさん電流を流したり放熱したりするためにリードが太く、金属部分の体積が大きくなっています。
またそれを付ける基板側のランドや配線パターンも、面積が広くなっていることがあります。
そのため普通の部品を付けるときより温まりにくく、少しだけ長めに加熱してあげると良いでしょう。
後半に続きます。
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