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初心者向け はんだ付け講座 - 第5回「電子工作キットを作ってみよう」 後編
投稿者:2G 加藤
はんだ付けの方法がわかって、何かを作ってみたい。だけど何を作ればいいかわからない。
そんな時は「電子工作キット」を作ってみましょう。
初心者向けから上級者向けまで、色々なキットがありますよ!
デジタル時計キットの制作 2
前回に引き続いて、秋月電子通商で購入した「PICマイコンデジタル時計キット Ver.3」を制作していきます。
トランジスタのはんだ付け
次に背の低い部品は、トランジスタです。
このキットのトランジスタは2種類で、PNPトランジスタの「2SA1015」とNPNトランジスタの「2SC1815」です。
まずはTr1~Tr4の「2SA1015」から付けていきましょう。
トランジスタはラジオペンチなどで穴ピッチに合わせてフォーミング(整形)する必要があります。
トランジスタには極性があります。上から(または下から)見た時に半月状になっていて、丸いほうと平らになっていて文字が書いてある面があります。
基板にも半月状の印字がありますので、この印字に合わせて挿し込んでください。
向きが決まったら、はんだ付けします。
トランジスタは熱に弱い部品なため、無駄に長く加熱してはいけません。
また部品を挿し込むときに、トランジスタ本体と基板をぴったりくっすけずに少しだけ浮かして付けると、少しだけ長くなったリード線が放熱してくれて、熱で壊すことなくはんだ付けできます。
ただしこの方法で斜めにならない様に付けるのは難しいので、3本のリード線は一気に付けずに、傾きを修正しながら付けるとよいでしょう。
Tr5~Tr10は「2SC1815」です。同じようにフォーミングして、はんだ付けしていきます。
Tr9とTr10は少し離れた場所にあります。
ちなみに、私が購入したキットに入っていた紙の説明書では、部品表にTr10が書いてありませんでした。
2SC1815が1つ余っていたため、Tr10は2SC1815だろうなと思いつつも少し不安になりましたが、秋月電子通商の通販サイトからダウンロードできるPDFファイルの説明書はちゃんと修正されていて、Tr10は2SC1815であることが分かりました。
このような間違いと修正があるかもしれないので、出来るだけサイトからダウンロードした説明書を見ながら作るほうが良いのかもしれません。
トリマコンデンサのはんだ付け
次はトリマコンデンサ(可変容量コンデンサ)です。
この部品には極性があり、上から(または下から)見た時に丸い側と平らな側があります。
今回の回路では、丸い側が左側になるように付けてくださいと説明書に記載されています。
タクトスイッチのはんだ付け
次はタクトスイッチ(小型押しボタンスイッチ)のはんだ付けをします。
4色のスイッチがあり、説明書を読む限り色の指定はないようです。
好きな色で付けてもいでしょうし、私は通販サイトの完成写真と色を揃えてみました。
タクトスイッチは上から(または下から)見ると正方形ですが、よく見ると部品の足が出ている面とでていない面があり、方向があります。
このキットの基板は、足が出ている面が左右になるようにはんだ付けします。
コネクタのはんだ付け
次はコネクタのはんだ付けをします。
コネクタは、基板同士を連結したり、基板と電線を連結したりするときに使用します。
IC基板のほうでは、20pinソケットと3pinヘッダをはんだ付けします。
この2つの部品も足がたくさんある部品ですから、斜めに付かない様に確認と修正をしながらはんだ付けしましょう。
特に20pinソケットの方は、これが斜めに付いてしまうと、完成時の時計の表示部分が斜めになるため、まず対角2点を付ける方法で慎重に付けましょう。
LEDのはんだ付け
次はLEDのはんだ付けをしましょう。IC基板上のLEDは「LED9」のみです。
LEDには極性があり、それぞれ「アノード」と「カソード」と呼ばれます。そして、リード線が長い方が「アノード」、短い方が「カソード」です。
逆向きにしてしまうとLEDが光らないため、よく説明書を確認して、正しい方向ではんだ付けしましょう。
水晶発振子のはんだ付け
次は水晶発振子です。この部品は、時計としての時間の基準となる信号を発生させる部品です。
サイズの違う水晶発振子も取り付けられるように穴が3つ開いていますが、使うのは上側2つの穴だけです。
極性はありませんが、差し込む穴には少し注意してください。
電解コンデンサのはんだ付け
次は電解コンデンサをはんだ付けしましょう。
電解コンデンサには極性があります。リード線が長い方が「+側」、短い方が「-側」になるように取り付けます。
もしくは、電解コンデンサ本体の白い帯があるほうが「-側」です。
この二つの電解コンデンサもほんの少し高さが違うため、小さい方(10μF)からはんだ付けしてください。
ブザーのはんだ付け
いよいよIC基板で最後の部品、ブザーを取り付けましょう。
このブザーにも極性があり、横から見ると「+」のマークが見えます。
さてこのブザー、最後に取り付けるだけあって、ほかの部品よりかなり背が高いです。
裏返してこてを当てると基板が傾いてしまって上手くいかなかったため、反対側にラジオペンチを差し込んで、力がかかっても平面になるように工夫しました。
上手く付いたら、上面のシールは取ってしまって構いません。
LED基板のはんだ付け
続いて、LED基板をはんだ付けしていきましょう。
まずはコネクタです。L型20pinヘッダをはんだ付けします。
この部品が斜めに付いてしまうと表示部分が斜めになるため、対角2点を付けてからチェックしましょう。
次はLEDを付けましょう。LEDには極性があるため、方向に注意してください。
真ん中の2つは黄LED、下の2つは赤LEDを付けるようです。
さて、LED基板も最後の部品になりました。
7セグメントLEDという、大きなブロック状のLEDを付けていきましょう。
この部品は名前の通り、セグメント(区切り)が7つに分かれていて、0から9までの数字が表示できるようになっています。
でもホントは、右下にドット(点)もあるため、8セグメントだったりします。
この部品も斜めに付いてしまうと見栄えに影響するため、できるだけ慎重に、対角2点の方法ではんだ付けしましょう。
4つはんだ付けできたら、LED基板が完成です。
DCジャックの取り付け
キットの組み立ては完了したのですが、このキットは電源部分を別に用意する必要があります。
9V~12Vで、100mA程度流せる電源を用意する必要があるため、秋月電子通商などで「ACアダプタ」と「DCジャック」を購入しましょう。
今回使ったのは「スイッチングACアダプター9V2A」通販コード「M-02193」価格980円と、「2.1mm標準DCジャック」通販コード「C-06342」価格60円です。
これら2つは今回購入したわけではなく、元々持っていたものを使いました。
安くしたい場合、ACアダプタは「スイッチングACアダプター9V1.3A」通販コード「M-11998」価格580円でも十分だと思います。
また、コードが付いたDCジャック「DCジャック付ケーブル1.8m」通販コード「C-06566」価格250円を使うと工程が少し楽になります。
まずは基板とDCジャックをつなぐ、適当な長さの電線をはんだメッキします。
電線はいらないUSBケーブルなどから取り出して使ってもいいですし、ホームセンターで切り売りの電線を買ってもいいでしょう。
もし秋月電子通商で一緒に買う場合は「耐熱電子ワイヤー 1m×10色 導体外径0.54mm(AWG24相当)」通販コード「P-10672」価格300円 あたりがオススメです。
では、DCジャックと電線をはんだ付けします。
電源は極性が大事です。今回使うACアダプタは「センタープラス(中央の電極が+極)」のため、ジャックは中央電極が赤線になるようにはんだ付けします。
同じように、外側電極は黒線になるようにはんだ付けします。
色は必ずしも赤と黒である必要はありませんが、分からなくならない様に、それぞれ違う色を使うのが基本です。
そのあとは電線の反対側をはんだメッキした後、IC基板と接続します。ここでも+と-は逆にならないように気を付けましょう。
最終確認とICの取り付け
はんだ付けが終わると、すぐに電源を入れて動かしたい気持ちになりますが、ここでもう一度出来上がりを確認しましょう。
見るべきポイントは、はんだの形(富士山型か?隣とブリッジしていないか?)、部品の位置(違う抵抗値になっていないか?)、部品の極性(+-が正しいか?)などです。
これらのポイントは間違うと正しく動かないだけでなく、電源がショートして発熱してしまったり、部品が壊れてしまうこともあるので、初回の通電前にしっかり確認してください。
最終確認が終わったら、ICを取り付けましょう。
新品のICは、足がハの字型に広がっていてソケットに刺さりにくいことがあります。その場合は机などに一列に押し付け、ほんの少しだけ内側に曲げてあげると取り付けやすくなります。
ICソケットをはんだ付けしたときも気にしましたが、切り欠きの方向を合わせてソケットに差し込みます。
大きい方(28pin)と小さい方(16pin)どちらも、切り欠きが左側になるように差し込みましょう。
なお、ICはソケットとの隙間がほとんど無くなるくらいまで、しっかりと差し込みます。
動作確認
全てのはんだ付け、組み立て、確認が終わったら、いよいよ電源を入れます。
ACアダプタをコンセントに挿し、DCジャックを繋ぎます。
何度、工作を経験しても、初回通電のこの瞬間はドキドキします。
……う、動いたー!!
慎重に組み立てた甲斐あって、一発で動作しました。もしここで動作がおかしかった場合は、すぐに電源を切って、もう一度しっかり出来を確認しましょう。
無事に動作した後は、説明書に従って、時計合わせや遅れ進み調整などを行ってください。
完成した時計は、7セグメントLED表示が大きくて見やすいですね。
私はパソコン机の端に置いてみました。
基板がむき出しのメカメカしい感じがカッコいいです。なにより自分で組み立てたという達成感もあり、愛着がわきますね。
皆さんも、色々なキット制作を楽しんでください。
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